食べているものも、生活も変わっていないのに、急に体重だけが増えていく……!そんなとき、いったい何が悪いの?と不安になりますよね。
実は、「急に太った」ときには、その影にさまざまな深刻な要因が隠れていることがあります。「太る」ということも、体からの大切なSOSの可能性があるのです。
そこでこの記事では、急に太ったときに見直したいことをお伝えします。
自分では全く自覚症状がなかった「心や体のトラブル」に、気付くことができるかもしれません。
最近、「急に太った?」と感じる人が見直したい10のポイント
質の良い睡眠を取れていますか?
睡眠時間が少なかったり、時間は確保していても睡眠の質が悪かったりすると、体重の増加につながります。
実際に、睡眠時間が短ければ短いほど、肥満になりやすいというデータがあるほどです。
睡眠中には、「成長ホルモン」という脂肪分解を促進するホルモンが分泌されたり、体内の疲労回復が図られ体の調子が整えられます。
そのおかげで、摂取した食べ物のカロリーをスムーズにエネルギーに変換し、燃焼しやすくなるので、脂肪として蓄積しにくくなるのです。
しかし睡眠が不足したり、質が悪いと、成長ホルモンの分泌量は減り、基礎代謝は落ちるので、同じ食生活をしていても太りやすくなります。
さらに、極端に睡眠時間が少なくなると、体は「命の危険がやってきた」と認識し、あえて脂肪を蓄積して体を守ろうとします。
その上、食欲を司るホルモンにも睡眠不足は影響を与えてしまいます。
満腹ホルモンである「レプチン」が減り、空腹ホルモンである「グレリン」が増えるので、無意識のうちに食べる量が増えてしまうのです。
このように睡眠不足はダイエットの大敵です。寝る子は育つならぬ「寝る子は痩せる」を合い言葉に、痩せたいのならば充分に眠ることを心掛けましょう。
便秘ではありませんか?
便秘になると、腸の中に残留物が蓄積して体重が急増することがあります。
その重さは、人によっては4kg程度にまでなるといわれています。
便秘を解消するためには、腸内環境を整えることが重要です。腸内の悪玉菌を減らし善玉菌を増やすために、善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖を摂りつつ、ヨーグルトなどで善玉菌を補給しましょう。
また、「発酵食品」は便秘解消のために非常に効果的です。次のようなものを積極的に食べましょう。
- 納豆
- イカの塩辛
- キムチ
- ぬか漬け
- メンマ
- ピクルス
- サワークラウト
- 塩麹
- 黒酢
その他に、充分な水分を摂ること、適度な運動をすることも、便秘解消に役立ちます。
「いくら食べても太らない」という人は、全員が快便体質です。逆にいえば、便秘になると急に太りやすくなります。
どうしても便秘が解消できない場合は、「便秘外来」で相談することも検討しましょう。
自分の腸の形や便秘のタイプを専門医に診断してもらうことで、どんな対策を取ったら良いのかが明確になります。
むくみがひどくありませんか?
「急に太る」というと「脂肪が増えた」というイメージがありますが、単に体重計の数値が増えた場合には、水分の増加によるケースが非常に多くあります。
体の中で脂肪は20〜25%であるのに対して、水分は60〜65%を占めています。
そのため、体重計の数値が1日〜2日で変動する場合は、ほぼ水分によるものと考えて良いでしょう。
また、急に体重が増えると同時に、
- 靴下の跡が消えない
- 足が重くだるい
など、体のむくみを感じている場合には、むくみによる水分を抜けばすぐに元に戻る可能性があります。
むくみを取るためには、まずは塩分を控えた食事を摂りましょう。
そして、「カリウム」の多い食べ物を摂ると、スムーズに体内の塩分と水分を排出することができます。
カリウムの多い食べ物には、次のようなものが挙げられます。
- 納豆
- アボカド
- ほうれん草
- 昆布
- バナナ
- メロン
- キウイフルーツ
また、何時間も立ちっぱなし、または座りっぱなしの仕事だと、水分循環が悪くなってむくみやすくなります。
夕方には足がパンパンになってしまう人は、着圧ソックスの着用がおすすめです。
他にも、帰宅後に半身浴をしながらマッサージをしたり、足を高くして寝たりすることも、むくみ解消に効果を発揮します。
なお、むくみは深刻な病気でも現れることがあります。
手の甲やふくらはぎなど、むくみの気になる部分を指で10秒程度ギュッと押したとき、へこんだ跡になって戻らない場合は、むくみの程度がかなりひどくなっているので、一度内科を受診しましょう。
病的なむくみの場合、一気に10kg近くの体重増が見られるケースもあります。
腎臓、心臓、肝臓などに異常が出ていると至急治療を受ける必要があるので、おかしいなと感じたら自己判断せず医師の判断を仰ぎましょう。
喉の腫れや違和感はありませんか?
のど仏の下あたりにある「甲状腺」に異常が起きると、急に体重が増えることがあります。
この甲状腺から分泌される「甲状腺ホルモン」には、体のエネルギー代謝を調節する重要な役割があるのですが、
- 甲状腺ホルモンが増え過ぎると、代謝が良くなり過ぎて体重が激減
- 甲状腺ホルモンが減り過ぎると、エネルギーが消費できず体重が急増
します。
また、甲状腺ホルモンの分泌量が減る病気のことを「甲状腺機能低下症」といいますが、次のような症状が特徴的です。
- 小食なのに太る
- 体がだるくて疲れやすい
- やる気がでない、無気力
- 寒がり
- コレステロール値が高い
- 眉毛の外側1/3に脱毛がある
- 便秘がち
複数当てはまる場合には、まずは病院で血液検査を受けましょう。
甲状腺機能に関する血液検査は、通常の健康診断ではしていないことが多いので、健康診断で異常がなかったからといって安心はできません。
さらに、甲状腺関連の病気は自然治癒することはなく、適切な治療をすることで日常生活が送りやすくなります。早期発見を心掛けましょう。
なお、甲状腺機能低下症の明確な原因は分かっていませんが、飢餓状態に陥るような過激なダイエットがキッカケになることもあるといわれています。
痩せたいあまりに極端な食事制限に励むことが、逆に痩せにくい体を作ってしまうことがあることを知っておきましょう。
アルコールを摂り過ぎていませんか?
体重が急激に増える病気として、甲状腺機能低下症の他に有名なのが「肝硬変(かんこうへん)」です。
日常的にアルコールの摂取量が多く、肝臓に負担をかけている心当たりがある人は注意が必要です。
肝硬変の初期症状では、腹部が風船のようにぽっこりと膨張し、下半身がひどくむくみます。
一見、太ったのかと思うような症状ですが、肝硬変でこの症状が出ている場合は、早急に治療が必要な状態です。急いで受診しましょう。
また、肝硬変の一番の原因は、アルコールの過剰摂取ですが、肝硬変にまで至らずともアルコールを大量に摂取していると太りやすくなります。
肝硬変は、肝臓がアルコールの分解に時間を取られ、脂肪など他の成分の分解をできなくなったために起こります。
分解できなかった脂肪は、肝臓の中に蓄積されて「脂肪肝」となり、この硬化が進むと「肝硬変」となるのです。
アルコールの摂り過ぎは、健康にもダイエットにも悪影響となります。ほどほどに嗜む程度を心掛けましょう。
下腹部だけが不自然にポッコリ出ていませんか?
体全体的に太ってきたのではなく、下腹部だけが徐々に大きく膨らんできている場合には、腫瘍(しゅよう)の可能性があります。
まるで妊婦さんのように、お腹だけが不自然にポッコリと膨らんでいる場合、子宮筋腫や卵巣腫瘍、膀胱腫瘍の可能性があるのです。
腫瘍が大きくなると、2〜3kgにも及ぶため、体重も増えがちになります。
そして、腫瘍には悪質な場合もあるので、できるだけ早く皮膚科や婦人科で診察を受けるようにしましょう。
生理は順調ですか?
女性の人の場合、急に太ったときに考えたいのが「女性ホルモンのバランス」です。
女性ホルモンの分泌量のバランスが変化すると、全く同じ生活をしていても太ったり痩せたりしやすくなります。例えば、ピルを飲むと太りやすくなるのはよく知られていますね。
また、急に太るのと同時に、
- 生理の周期が遅くなった(または早くなった)
- 生理痛や経血に変化があった
場合には、女性ホルモンに異変が起きているかもしれません。できるだけ早く、婦人科を受診しましょう。
自宅でできる対策としては、「規則正しい生活」と「大豆の日常的な摂取」を心がけることが効果的です。
大豆には「大豆イソフラボン」という、女性ホルモンと類似した成分が含まれるため、増減しやすい女性ホルモンをサポートしてくれます。
なお、女性ホルモンのバランスに異常がない場合でも、生理の前には体重が一時的に増えます。
「急に体重が増えたと思ったら生理前だった」ということもありますので、生理サイクルを確認してみてください。
更年期に差し掛かっていませんか?
「更年期」とは、閉経前後の5年程度を指す言葉で、年齢でいえば45歳〜55歳頃です。
しかし、人によっては30代後半から40代にかけて女性ホルモンの分泌量が減り、更年期が始まるケースもあります。
更年期になると、脂肪代謝を促してコレステロール値を正常に保つ働きをしていた女性ホルモンが急激に減るため、体重が急増しやすくなります。
この時期に今までと同じ食事量・運動量では、体重がどんどん増えてしまうので、
- カロリーのコントロール
- 基礎代謝を上げるための運動
の、ふたつを取り入れましょう。
脂肪分の多い食材はできるだけ避け、筋肉量をキープするためのタンパク質と、体内のバランスを整えるための野菜類はしっかりと摂ることが大切です。
ご飯・パンなどの炭水化物は、基礎代謝が落ちている状態で食べ過ぎると脂肪に変わってしまいます。今までの半分程度に抑えるくらいでちょうど良いでしょう。
最近飲み始めた薬やサプリメントはありませんか?
薬やサプリメントが合わない場合、急にむくみがひどくなったり、代謝が悪くなって太りやすくなったりすることがあります。
もし、急に太ったタイミングで新たに飲み始めた薬やサプリメントがある場合は、その影響があるかもしれません。医師の指示で飲んでいる場合は、まずは医師に相談しましょう。
特に、うつ病の治療薬や胃薬、ステロイド剤のなかには、体重が増えやすくなる薬があることが知られています。
ドラッグストアなどで購入した薬やサプリメントは、まずは服用をストップして様子を見てみることをおすすめします。
心にストレスを溜めていませんか?
心のストレスが溜まって「やけ食い」「過食」「飲酒」などに走ればもちろん太りますが、摂取カロリーが今までと同じでも、ストレスが溜まるだけで太りやすくなります。
それは、ストレスを受けたときに分泌されるホルモンの影響です。心がストレスを受けると、「副腎皮質」という腎臓の上にある臓器から、「コルチゾール」というホルモンが分泌されます。
このコルチゾールは、ストレスに晒された脳を守るためにエネルギーを確保する役割があるのですが、ダイエットにとっては大敵です。
というのも、エネルギーを確保するために筋肉を分解してしまうのです。コルチゾールには、筋肉を分解して、脳のエネルギーであるブドウ糖に変換するという働きがあります。
筋肉が減れば、その分、基礎代謝が低下して太りやすくなります。そればかりでなく、使い切れなかったブドウ糖は、今度は脂肪として蓄積されていきます。
簡単にいえば、コルチゾールは「筋肉を脂肪に変換してしまう」のです。これが、心のストレスで体が太ってしまう仕組みです。
ときどき、ストイックにダイエットに取り組み過ぎて、摂食障害の一歩手前にまでなってしまい、必死に頑張っているのに体重が減らない状況に陥る人がいますが、これにもコルチゾールが関わっています。
精神的にストレスを感じるほどダイエットを徹底し過ぎると逆効果になるのです。
日々の生活の中で、極端な我慢を自分に強いるようなことはせず、心にストレスがかかり過ぎないよう気を配ることが大切です。
まとめ
最近、「急に太った?」と感じる人が見直したい10のポイント
- 質の良い睡眠を取れていますか?
- 便秘ではありませんか?
- むくみがひどくありませんか?
- 喉の腫れや違和感はありませんか?
- アルコールを摂り過ぎていませんか?
- 下腹部だけが不自然にポッコリ出ていませんか?
- 生理は順調ですか?
- 更年期に差し掛かっていませんか?
- 最近飲み始めた薬やサプリメントはありませんか?
- 心にストレスを溜めていませんか?
心当たりがないのに急に太ると戸惑ってしまいますが、ひとつひとつ要因を辿ってみると、何らかの理由が見つかるはずです。
「急に太る」というのは、体にとっては異常事態です。
できるだけ早急に理由を見つけて、適切なケアをすることが、健康にもダイエットにも良い影響を及ぼしますよ。
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