人間には自分でも触れたくない心の傷(トラウマ)が一つや二つはあるものです。そのトラウマの克服についての大きなキーワードは「イメージ」です。
言い方を変えれば、人はイメージによって苦しめられているともいえます。今回はそのトラウマを克服していく方法を紹介します。
戦争体験者でも癒せる効果があったトラウマを克服する方法
トラウマはなぜ発生するのか
人は、自分自身に起きた嫌な事柄(記憶)を「早く忘れたい」「出来ればなかったことにしたい」と思ってしまう生き物です。
例えば、何か失敗をしたときや、誰かからひどい言葉を言われたときに「この失敗を次に生かす」とか「こんなことで気にしていたら身が持たない」などと心を切り替えようとします。
この気持ちの切り替えは、非常に重要なことですが、切り替えて忘れたはずの感情が「単に先送りしただけ」で、自分の制御できない領域に押しやっただけという場合があります。(心理学で言う抑圧。)
この押しやった感情が強ければ強いほど制御できなくなり、ふとしたキッカケや同じ様な状況でフィードバック(自分の意識化に現れる)してしまいます。
つまりは、辛い記憶を繰り返し思い出しているうちは、自分自身からの「癒し(記憶整理)」を促すサインである事をよく認識しておきましょう。
そして、そのサインを受け止めてあげることから始めましょう。「そうか・・・結構気にしてるんだな。」と、認めることで気持ちの整理(トラウマの克服)が始まるのです。
イメージせよ!記憶の思い出し方を変える
トラウマの克服方法で定評のあるNLP(神経言語プログラミング)別名「脳の取扱説明書」と呼ばれている心理学と言語学を体系化した人間のコミュニケーションに関する学問があります。
ベトナム帰還兵やその家族の抱える問題等に多大な効果が確認されたことで一躍世界に広まりました。
そのNLPの大きな要素の1つが「イメージ」です。人間の脳は、実体験とイメージの区別がつかないといわれています。
このイメージを上手く活用してトラウマを自己修復して行きましょう。人間には、思い出(体験)を呼び起こし方が2種類あるといわれています。
① 自分自身が体験したその場、その時に戻ったかのごとくに「気持ち」や「身体の感覚」までリアルに思い出す(記憶の再体験)
② 思い出を第三者の視点で(映画でも見ているように)思い出す。
その中でもトラウマは、①記憶の再体験をする場合が圧倒的に多いのです。
このトラウマの再体験は、再体験のたびに印象(トラウマ)を強めてしまうのでトラウマがなかなか消えないという悪循環を生じさせてしまいます。
トラウマの存在を感じたら、次の事を試してみましょう。
①あなたは、映画館の最後尾に座っている観客です。そして映画が始まります。その映画がトラウマというわけです。
②トラウマをイメージする(再生する)ときに、誤って再体験の視点になってしまうときがあります。再体験の視点になった場合は映画館のイメージを強く認識してください。
③再体験の視点から逃れられなかったり、イメージの最中に苦しくなった場合は直ちに中止しましょう。映画のエンドロールをイメージして中止を認識させてみるのもいいでしょう。実は途中で中止することにも非常に意義があります。いつでも中止できるという事を認識できるからです。
このように①から③くり返していくことで心が緩和されてきます。
イメージせよ!記憶の部位を差し替える
その2の記憶の思い出し方を変える。より難しいですが、効果的なのが記憶の部位を差し替えてイメージしてみる方法です。
例えば、あなたにひどい言葉を浴びせている人物をクマのぬいぐるみに変えてみたり、ひどい言葉を受けているあなた自身を別の人に(俳優など)変えてみるなどいろいろイメージしてみましょう。
また、配役ばかりでなくそのシーンに流れている音楽(流すとしたら)などを変えてみたりしてみるのです。
大きさも変えてみてもかまいません。あなたにひどい言葉を投げかける相手を犬ぐらいに小さくしてみましょう。
言葉も犬の吠えに変えてみましょう。ふざけ過ぎ・ばかばかしいと感じるかもしれませんが、そのばかばかしさを楽しむ余裕はトラウマを克服して行くなによりの薬です。
是非、試してみましょう。
良いイメージで防御する
人間はトラウマになるような記憶や体験を保全するのは得意なくせに、成功体験をイメージ化し、保全する事は苦手な動物です。
良い体験をイメージ化し、より長く保全するためにはトレーニングが重要です。
トレーニングの前準備として、自分の好きなものを5つ書き出してみます。(例:好きな車・好きな食べ物・好きなスポーツなど)
その好きなものをキーワードに、自分とその要素を思いつくままイメージしてドンドン書き出してみましょう。
深く時間をかけるのではなく、感覚的に思いつくまま書き出してみましょう。全てが終わったら、そのイメージを5感(視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚)に分類していきます。
例えば、好きな食べ物でリンゴをイメージしたとします。そのリンゴの赤い色が印象した記述があれば視覚・リンゴを口に入れたときの酸っぱい感覚がイメージできれば味覚という具合です。
自分の好きな5つのイメージをみわたしてみると、イメージに5感の傾向が現れるかもしれません。
もし、その傾向が見て取れたなら、その傾向を中心に良い体験のイメージの肉付け(イメージを膨らませるということ)をしていきます。
【肉付けのイメージ】
①視覚 アングル(他人目線、自分目線)・明暗・カラーかモノクロか・鮮やかかぼやけているか・大きいか小さいか・動きがあるか静止画か・スピードなど
②聴覚 音量・言葉か音か・音が豊かか・耳障りな音かどうか・店舗・明瞭感など
③触覚 場所・強度(硬いか柔らかいか)・肌触り・重さ・温度・形状など
④味覚 酸味・苦味・甘み・甘み・感じる時間・感じた後の自分の気持ちや表情など
⑤嗅覚 匂いの具体化・刺激の強度、匂いをかいだときの自分の気持ちや表情など
良いイメージを自分の得意な感覚で肉付け(膨らませる)することで、イメージの強化が図れます。
成功体験は「心の糧」になるものですし、より良い目標へのイメージは自分の欲する現実を手に入れやすくするものですので是非試してみましょう。
まとめ
戦争体験者でも癒せる効果があったトラウマを克服する方法
・トラウマはなぜ発生するのか
・イメージせよ!記憶の思い出し方を変える
・イメージせよ!記憶の部位を差し替える
・良いイメージで防御する
コメント コメントが多い記事もあります。読んでみるとモチベーションアップに繋がります。