現代では日本国内の全雇用者のうち、約4割が非正規雇用であると言われています。そんな非正規雇用の内の大きな割合を占めているのが派遣雇用です。
派遣という雇用形態は1986年の労働者派遣法の施行によってスタートし、1990年代の後半にその範囲が拡大され、2000年代を通じて現在のような形態となっていきました。
このように見ていくと、この雇用形態は歴史的にはかなり新しいものであり、それが非常に急速なペースで社会全体に浸透していったということが理解できます。またこうした傾向はこれから先も続いて行くと見られております。
さて、この派遣雇用ですが、実際にこの形態で働くという場合、そこには派遣ならではのどのようなメリットおよびデメリットが考えられるのでしょうか。
今回は、派遣社員で働くメリットとデメリット、それぞれについてお伝えします。
派遣社員とは何か?派遣で働くメリットとデメリット
派遣で働くメリット7選
勤務時間がはっきりしている、サービス残業が無い
正社員の場合、就業時間がはっきりせず残業するのが当たり前になっていたり、また残業代も満額支払われないサービス残業が常態化しているという現状があります。
しかし派遣雇用の場合は、時給制であるため始業終業時間は明確化され、残業代も支払いがなされない場合大きなトラブルに発展しやすいためしっかりと支払いがなされます。
仕事内容がはっきりしている
正社員の特に総合職の場合には会社の状況などによって部署異動などがなされ、入社時に想定していた仕事内容とはかけ離れた業務に就くという場合も少なくありません。
その一方、派遣雇用の場合は予め業務内容を確認した上で雇用契約を結ぶという形式となっており、それ以外の業務に従事することは違法となるためこのような心配はありません。
また、これにより自分の得意分野やスキルを活かした仕事に就きやすいということも挙げられます。
勤務地が選べる、転勤が無い
正規雇用者の多くが心配することの一つにどの地域の職場に配属されるか分からない、転勤をしなければならないなどの問題があります。
この点においても派遣雇用の場合には就業場所を明示し、勤務地の確認がなされた上で契約を結ばなければならないというよう定められているため、こうした心配はありません。
採用がされやすい
正規雇用の場合、どうしても応募から採用、勤務の開始までに書類審査から面接、さらに二次三次の面接と、少なからず時間と手間がかかってしまうということがあります。
派遣の場合には面接によって採用が決定した場合、その翌日からすぐに勤務を開始することが出来るなど、非常にスピーディーで間を空けることがないという特徴があります。
人間関係を気にしなくて良い
正社員の場合、職場における人間関係の問題が大きなトラブルに発展するということも少なくはありませんが、派遣社員の場合にはあくまで良くも悪くも「余所者」であるため、そうした人間関係から距離を置くことが出来るという傾向があります。
飲み会や社員旅行、懇親会などへの参加も求められないという場合がほとんどです。
また、もし職場における人間関係などにトラブルを抱えてしまったとしても、3ヶ月後にやってくる契約更新のタイミングにて退職を希望すれば、すんなりと現在の環境から離れることが可能となります。
責任の所在が明確、責任を負わなくて良い
派遣雇用のメリットとしては全般として「責任が軽い」ということが挙げられます。
正社員、特に総合職の場合と違い、就業条件明示書によって予め職務や責任者が明記されているため、それ以上の責任を背負うことは一切ありません。
さまざまなスキルを学べる
派遣雇用者はいろいろな職場を転々とするため、必然的にさまざまなスキルを学んで行きやすくなるということが挙げられます。
明確なキャリアプランを持ち、それを伸ばす職場を選ぶことが出来れば正社員よりも遥かに高い経験を積むということもできるでしょう。
また、その他にも派遣元の企業にて研修やワークショップが無料、もしくは非常な割安にて提供されることも多く、そうした機会を利用するということも可能となります。
派遣社員で働くデメリット7選
収入が不安定
極一部の例外を除き、派遣雇用では時給制によって賃金の支払が行われているため、休日や祝日の多い月では目に見えて収入がダウンしてしまうということがあります。
また有給休暇なども正社員に比べて認められるのが難しく、病気や怪我で仕事を休んだ場合にもその分の給料が少なくなってしまいます。
賞与がない
派遣雇用はその他非正規であるパートやアルバイトはもちろんのこと、正社員と比べても時給換算での給与は高いと言われています。
しかしその一方で、正社員に認められている昇給や賞与などは無い場合が多く、年収換算では正社員よりもかなり低くなってしまうということが多くあります。
交通費が出ない
これは契約内容にもよるのですが、派遣社員の場合交通費の別途支給がなされないという場合も少なくありません。
そのため特に遠隔地へ通勤するという場合、交通費の出費がかなりの痛手となってしまうという可能性もあります。
社会的な信用がない
派遣社員の場合、やはり社会的信用という点では正社員に劣るという場合が少なくないようです。
このことが最も多く影響するのがローンが組めない、組めたとしても限度額が低い、というケースにおいてです。
かつて日本では「働いて自家用車と家を買う」というのが一般的なライフスタイルとされてきましたが、これからの時代に、こうしたあり方は大きく変わっていくことになるでしょう。
契約期間に定めがある
派遣雇用の場合、契約期間に期限が存在し、3ヶ月毎に契約を更新するというのが一般的です。
しかし、その契約更新がなされないということもあり、そのことが精神的な不安となってしまうということもあります。
また2015年になされた派遣法改正により今後は継続して3年以上同じ職場で勤務をすることは難しくなるとされ、今後この問題がさらに大きな懸念材料となっていくということは確実と見られています。
年齢とともに仕事が少なくなる
派遣の場合、どうしても年齢の上昇とともに仕事が少なくなっていってしまうという傾向があります。
これは「35歳の壁」という言葉で表されることもあり、35歳を過ぎると特に顕著になっていくということが言われています。
今後派遣雇用者が増加するに従い、このような事態により生活自体が成り立たなくなる人が増加し、生活保護受給者などが増えていくということも予測されております。
派遣先の環境によって左右される
派遣社員の労働環境は、派遣先によって大きく左右されると言われております。
同じ業種の派遣社員であっても、派遣先の社風や人間関係などによって働きやすさ、居心地の良さなどは大きく変わっていきます。
まとめ
派遣社員とは何か?派遣で働くメリットとデメリット
メリット
・勤務時間がはっきりしている、サービス残業が無い
・仕事内容がはっきりしている
・勤務地が選べる、転勤が無い
・採用がされやすい
・人間関係を気にしなくて良い
・責任の所在が明確、責任を負わなくて良い
・さまざまなスキルを学べる
デメリット
・収入が不安定
・賞与がない
・交通費が出ない
・ローンが組めない
・契約期間に定めがある
・年齢とともに仕事が少なくなる
・派遣先の環境によって左右される
いかがでしたか?
派遣というのは正社員と比較して格段に自由度の高い雇用形態であるという反面、それ故のリスクなどもあります。
もし派遣社員をご検討中の方は、メリット・デメリットを確認して、雇用選びの参考にしてみてください。
コメント コメントが多い記事もあります。読んでみるとモチベーションアップに繋がります。