近年、非正規雇用者が増加するに従い、「正社員」という労働形態に注目が集まりつつあります。結婚相手、あるいは親が自分の子供に対して「正社員である」ということを求めるという傾向が強くなり、また労働者の「正社員化」が政策として要求されるようにもなってきました。
さらに最近ではそうした正社員という身分が「既得権益」であるという言説も発せられています。
このように、さまざまな文脈にて用いられる正社員ですが、これらの用法に共通するのが「正社員=良いもの」もしくは「正社員=安定」という観念です。しかし、果たしてそこには本当にメリットのみしか存在しないのでしょうか。
今回はそんな正社員である事に関するメリットとデメリットについてお伝えします。
正社員で働くメリットとデメリット、「正社員=安定」の現実
正社員で働くメリット
長期に渡って安定して働ける
やはり何と言っても正社員の場合、「安定」という大きなメリットが挙げられます。
余りにも大きな失態や、会社自体の業績の悪化、倒産などの場合を除き失業の心配をすること無く日々の生活を送ることが可能となります。
様々な手当などが支給される
近年ではやや廃れてきたというものの、正社員の、特に総合職の場合、企業としてはその社員に定年まで働いてもらい、会社の中でキャリアを形成していってもらいたいと考える傾向があり、そのためのコストを支払う用意、意志があるという場合がほとんどです。
かつては社員のお見合いまで企業側が設定するということも珍しくはなく、現在ではそこまでをすることはほぼ無くなりましたが、それでも住宅手当や子供が生まれた際のお祝い金、さらに資格取得支援のための手当などが支払われる場合があります。
その他にもガソリン代や電車代などの交通費、社員食堂の割引は多くの企業で実施されており、メーカー企業には自社製品購入時の割引などがあり、さらに大手の場合には企業年金などが保障されていることもあります。
賞与が支給される
正規雇用と非正規雇用を比較した場合、時給換算での固定給にはそれ程差がないと言われています。
ただし、一方で正社員の場合には賞与の支払いがなされることが多く、これにより年収では非正規社員に比べ、遥かに多くの賃金を受け取ることが可能となるという傾向があります。
昇給の機会が多い
正社員の場合、実績などの評価に応じ、昇給の機会が多いというメリットが存在します。
非正規の賞球の場合、昇給と言っても精々時給換算で数十円という程度のものですが、正社員の場合には月給にして数万円単位での昇給がなされます。
また、正社員の賃金には”定期昇給”という制度が適用されることも少なくありません。これは勤続年数などに応じて給与を引き上げていくというもので、所謂「年功序列賃金」と呼ばれるものです。
ただし近年では雇用情勢の流動化、経済状況の変動の激しさなどによりこうした制度を廃止する企業が多くなっているのも事実です。
研修などが充実している
企業は正社員に対し「自社の中でキャリアを形成していってもらいたい」という希望を持っております。
そのため研修などの社員教育に関しても、将来に向けた投資として積極的に取り組もうとする傾向があります。
社会保険、厚生年金保険に加入できる
非正規雇用や自営業などの国民健康保険とは違い、正社員の場合には社会保険に加入をし、その際の保険料に関しては企業側と折半をするというのが一般的です。
また、正社員の場合には原則として厚生年金保険へと加入することになっているのですが、こちらは国民年金基金とは違い基礎年金と厚生年金の二重構造となっており、またその掛け金に関しても企業側にて半額を負担するということになっているため、よりお得であると言われています。
社会的な信用がある
社会的信用という場合、やはり正社員は非正規雇用者や自営業、自由業者との比較で大きく分があると言えそうです。
これはクレジットカードやローン審査の際などに顕著な差として表れます。また結婚に関しても、やはり正社員の場合のほうがより婚約を結びやすいという傾向があります。
確定申告の必要がない
非正規雇用者や自営、自由業の場合、年に一度確定申告をし、支払った税金の額が適正なものであるということを確認しなければならないのであります。
一方で正社員の場合にはそうした手間をすべて会社側にて行うようになっており、過分に関しても年末調整などで自動的に支払われるということがほとんどです。
正社員で働くデメリット
残業・休日出勤に応じなければならない
正社員の場合、月曜日から金曜日、朝の9時から夜の18時までといった会社が決めた時間で働かなければならず、それに加えて残業、それも残業代が時間通りにきちんと支払われないサービス残業や、休日出勤を命じられるという場合も少なくありません。
またそれ以外の休日に関しても職場によって定められた就業規則によって左右をされるという場合もあります。
このため、非正規雇用と比較をして会社での拘束時間が長いという傾向があります。
移動・転勤に応じなければならない
全国各地に支店や店舗を持つ企業の場合、移動や転勤が定期的に行われることがあり、それにあなたが指名されることもあります。
このような移動や転勤の多くは会社都合による決定のため、自分の意思ではどうしようもならない場合が多く、拒否しにくい(リスクがある)傾向にあります。
会社の業績に左右される
近年では経済状況が厳しさを増すに連れ、会社の業績が悪化した結果、賞与を減額したり、あるいは廃止してしまうという企業も増えてきているようです。
また、会社の業績により賞与だけでなく、固定給自体が減る可能性もあります。
逆に、業績の良い会社であれば、結果を出した人間に対して、賞与や昇格として多く還元されるケースもあります。
人間関係が面倒
現代においては終身雇用制が崩壊しつつあるとは言え、まだまだ正社員の場合「定年まで特定の職場に通い続ける」というようなイメージが強く残っているという現状があります。
メンバーの固定された集団というものは、どうしてもいざこざやしがらみなどを抱えやすくなってしまうものです。
このような人間関係に行き詰まり、最終的に職場から去ってしまうという人は決して少なくありません。
現に統計上でも新卒入社をした会社を辞めた理由としては「人間関係のトラブル」との回答が全体の多くの割合を占めています。
またその他にも人間関係自体が好きではなく、社交辞令や飲み会、接待などに嫌悪感を持つという人も存在します。
やりたい仕事、得意な仕事が出来ない
日本企業の、特に総合職の特徴として、自分の希望する仕事ができないということが挙げられます。
アメリカなどの企業では考えられないことではありますが、例えば工学系の学部を卒業した新入社員が経理部に配属を命じられたりするということが当たり前にある、ということです。
このようなこともあり自分の能力を活かすため、あえて正社員職を避けて就職や転職を希望するという人もある程度存在するようです。
責任が重い
当たり前といえば当たり前の話ではありますが、正社員の場合、職務上の裁量の余地が広がる分責任もまた重くなるという傾向があります。
特に自分の仕事内容が希望に沿わないものであるという場合、このことが大きな不満やプレッシャーとなってしまうということも少なく無いようです。
また、雇用年数が上がるにつれて、重大な仕事を任せられたり、役職がついたり、部下の教育も必要になったりと、社内での役割も増えていきます。
まとめ
正社員で働くメリットとデメリット、「正社員=安定」の現実
メリット
・長期に渡って安定して働ける
・様々な手当などが支給される
・賞与が支給される
・昇給の機会が多い
・研修などが充実している
・社会保険、厚生年金保険に加入できる
・社会的な信用がある
・確定申告の必要がない
デメリット
・残業・休日出勤に応じなければならない
・移動・転勤に応じなければならない
・会社の業績に左右される
・人間関係が面倒
・やりたい仕事、得意な仕事が出来ない
・責任が重い
いかがでしたか。
正社員におけるメリットとデメリットを紹介致しました。
あなたは正社員として働きたい、もしくは働いていて良かったと思われましたでしょうか?
これらのことをあなたの将来設計に役立てていただけますと幸いです。
コメント コメントが多い記事もあります。読んでみるとモチベーションアップに繋がります。