人生は七転び八起き。いつどこにいてもこのようなことを耳にするのではないでしょうか。しかし中には人生において挫折や苦悩を味わったことなく過ごしているのではないかと思われる人もいます。
元プロテニスプレイヤーであり、現在は芸能界一熱いスポーツキャスター、松岡修造もその一人ではないでしょうか。
芸能界一熱いスポーツキャスター松岡修造の生き方
~絵にかいたようなエリート街道から一変~
松岡修造は、阪急電鉄や宝塚歌劇団などの阪急東宝グループ創始者の小林一三の孫で、東宝の名誉会長である松岡功と宝塚歌劇団星組元男役スターで宝塚歌劇団卒業生の千波静の次男と、「御曹司」です。
そしてお金持ちのスポーツといえばテニス。修造は中学時代からテニスの才能を開花させ、1986年には親の反対を押し切りプロへ転向。
1988年から本格的にツアーレベルの大会に出場するようになり、それぞれの大会で好成績を修め、世界ランキング100位以内という「世界に通用する日本人プレイヤー」として一躍注目を浴びます。
まさに絵にかいたようなエリート街道から一変、ある重大なケガが修造を襲うこととになってしまいます。
プロに転向して3年目。さあこれからという矢先、両膝半月板損傷という大ケガをしてしまうのです。状況は一向に快方に向かわず修造は両膝半月板の手術を余儀なくされたのです。
~一生懸命に生きた少女との出会い~
そんな矢先、修造のファンだという少女と出会います。病室を訪ねると、その少女から満面の笑みで「私の分まで頑張ってください」とエールを送られます。
「ありがとう。よっしゃ!君の分も頑張る!君も頑張ってね」と言葉を交わしてからしばらくして、修造は少女の「死」を耳にすることとなります。
その当時、修造はケガの具合が思わしくなく再手術などで苦しいシーズン中でした。「どうして俺だけこんなひどい目に遭うんだ」と自問自答を繰り返し、被害妄想に陥っていた時でした。
彼女は白血病で余命2週間だった間に、リハビリ中の自分を励ましてくれたことを知ったのです。彼女を死を目の当たりにし、本気で「生きること」と向き合うことになったのだといいます。
修造はそれ以来、「本気で生きろ」と自らに問い続けることとなるのです。その後、修造は1995年のウィンブルドンではベスト8に入るという、日本人の男子テニス選手として62年ぶりの快挙を果たします。
その時のコートを駆け回り、最後はコート上で大の字になって空を仰いだ映像は、みなさんもご覧になったこともあるのではないでしょうか。
きっと、そこには天国にいる彼女に向けての報告の場だったに違いないでしょう。
修造は、「あの少女との出会いは僕にとって大きなものでした。なぜ少女と出会えたのか。それは僕が求めていたからだと思うんです。」とのちのインタビューで答えています。
あの、どんなことにも熱いハートをもって接する修造は、この少女との出会いがきっかけとなり創られたのかもしれません。
~修造流「挫折との向き合い方」~
修造は今では明るくポジティブな印象があります。しかし自身の著書『挫折を愛する』では“挫折”というネガティブなテーマを題材にしています。
その中で、
「挫折をした人に悩みを相談されたとき、僕は『おめでとう。君はそれだけ本気なんだよ』と声をかけます。挫折するのは目標がしっかりしている証拠です。どうでもいいやと取り組んだことに挫折をする人はいません。そしてその“挫折”を好きになることができれば、もっと言えば、愛することができればきっと前を向いていけるはずなんです」
と“挫折”に対しての向き合い方について自論を述べています。
修造はスポーツキャスターとは別の顔として、テニス指導者としてテニス界のジュニア育成本部との共催で、毎年1数名の男子有望トップジュニアを対象に「修造チャレンジ」と題した強化合宿を開催しています。
歴代の合宿生からは日本トップレベルに成長した選手を輩出しています。なんとあの世界トッププレイヤー「エアケイ」こと錦織圭選手もこの「修造チャレンジ」の出身選手なのです。
この修造チャレンジで、修造はとにかく子供に厳しい。ふがいないプレーをしている子供を叱りつけ泣かせる場面もあります。ただ、そこで修造が子供たちにいつも語りかけています。
試合に負ける、プレッシャーに押しつぶされると自然と涙が出てくる子供に
「緊張するから涙が出る。試合に勝ちたいから涙が出る。でもそれは、よりよいものを出したいから出る涙。その涙はいいことだ。いつかこの涙に打ち勝てるような、プレイヤーになって下さい」
と諭します。
涙と向き合った子供はまたひとつこの合宿で強さを磨き、ワンランク上の選手となってはばたいていくのです。
「修造チャレンジ」では技術やテクニックを教えるだけでなく、世界で活躍したいと本気で思うような強い気持ちを、熱い気持ちを教わる合宿なのだと感じます。
そして、それはきっと修造が生きて感じた「全力で生きること」をこれからの世代に語り継いでいるよのではないでしょうか。
どんな世界でも挫折を乗り越えることは決して簡単ではないでしょう。しかし、修造のいうように「挫折を愛すること」ができるのであれば、より前より素晴らしい人生が待っているに違いないのではないでしょうか。
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