一般的に睡眠時間は、一日あたり6〜8時間程度が必要であるとされています。しかし、仮に1日8時間睡眠をとるとすると、一生うちの3分の1を睡眠に費やすということになります。
逆に、睡眠時間を1時間でも2時間でも減らすことができれば、それだけ活動時間が増えるということに繋がります。
ちなみに毎日1時間睡眠時間を削減すれば、一年あたりでおよそ15日分活動時間が増えるのです。
そこでこの記事では、短時間睡眠を成功させるためのコツについてお伝えします。
寝るのがもったいないと思っている人は、睡眠時間の短縮を実現させ、ショートスリーパーを目指してみましょう。
短時間睡眠の実現方法|寝るのがもったいない人のための16のコツ
徐々に体を慣らしていく
いきなり短時間睡眠生活を始めるのではなく、徐々に体を慣らしていくということが、成功させる第一のコツです。
現在習慣的に6〜8時間寝ているという人が、いきなり短時間睡眠を成功させることはできません。仮に睡眠時間を1時間短縮したとしても、翌日の生活に何らかの支障をきたす可能性があります。
一般的に短時間睡眠生活に移行をするという場合には、1ヶ月あたりで30分のペースで睡眠時間を減らしていくのが良いでしょう。
これは非常にゆっくりとしたペースたと感じるかもしれませんが、生活リズムの変化に体を慣らし、過度に負担をかけないためにはこれだけの時間をかけることが必要です。
4時間半を目安に寝る
短時間睡眠を習慣化するという場合、最終的な目標睡眠時間は4時間半に設定するのが良いと言われています。
この理由としては、人間の睡眠サイクルである、レム睡眠と、ノンレム睡眠のローテーションが関係しています。簡単にいうと、レム睡眠とは浅い睡眠のことであり、ノンレム睡眠とは深い睡眠のことです。
人間は睡眠中、この2種類の睡眠を90分ごとに繰り返し、入眠5時間後以降は、レム睡眠と浅めのノンレム睡眠が同じく90分交代で繰り返されます。
つまり、5時間後までの間の最も深い眠りの中で、90分の最大の倍数である4時間半が短時間睡眠の時間としては最も適切となるのです。
そして、4時間半よりも短い睡眠時間は、日常生活においてさまざまな支障をきたしたり、病気のリスクを高めてしまったりする可能性が高くなります。
23時から6時の間に睡眠を取る
短時間睡眠をする際の睡眠時間帯は、23時から6時が良いとされ、さらに就寝時間帯としては23時から2時まで、起床時間帯としては午前4時以降が良いと言われています。
この23時〜6時という時間帯は、人間において睡眠中に分泌される2つのホルモン、成長ホルモン、メラトニンが最も多く分泌される時間帯となります。
特に、体を回復してくれる成長ホルモンの場合は、23時から2時までの間に多く分泌されるため、この時間以後の就寝は適切ではありません。
また、眠気を促すホルモンであるメラトニンは21時から午前4時くらいまでは活発に分泌されるため、午前4時前までは起床に適した時間ではないということができます。
起床時に太陽の光を浴びる
短時間睡眠の場合、朝どうしても眠くて起きることができないという事態に陥ることがあります。そんな時の対処法として有効なのが、太陽の光を浴びるということです。
太陽光は人間にとって睡眠促進ホルモンであるメラトニンの分泌を抑え、心身を活動的にするホルモンであるコルチゾールの分泌を促進させます。
太陽光を浴びる場合、時間的にはおよそ20分以上でこの効果を得ることが可能となり、また、散歩などの軽い運動を組み合わせることでさらに大きな効果を得ることが可能となります。
起床後にシャワーを浴びる
短時間睡眠から起床をした際、素早く目を覚ます方法としては、シャワーを浴びるというのも有効です。
人間の体は睡眠中には副交感神経が活発となり、休息状態に入っています。また、覚醒時であっても眠気がある時などは副交感神経が優位となります。
寝起き時もまた、この副交感神経が優位の状態となっているのですが、シャワーを浴びることにより、その刺激によって交感神経優位にスイッチを切り替えるということが可能となります。
ただし、寝起きにシャワーを浴びることは、心臓などの循環器系には少なからず負担となる場合があるので、ご自身の体調、持病などに十分に注意をした上で行うようにしてください。
朝食をしっかり摂る
短時間睡眠を成功させるためには、朝食をしっかり摂るということを心がけるようにしてください。
「起床時に太陽の光を浴びる」で紹介したコルチゾールの効果は、朝食を摂らない場合には短時間しか持続できません。
このため朝食を抜く習慣がある人は、お昼前には既にエネルギー不足の状態となり、眠気やだるさに襲われ心身を活発に活動させることが難しくなります。
一方で朝食をしっかり摂っている人は、コルチゾールの分泌が滞ること無く行われるため、活動力を保つことが可能となります。
また、朝食を摂ることで体温が上昇し、それによってさらに活動力が高まります。
少食を心がける
短時間睡眠を成功させるためには、朝食をしっかりと摂る一方で、一日あたりの全体的な食事量は減らす必要があります。
食べたものを消化するという場合にも、人間の体はエネルギーを必要とします。
消化活動は一部夜間睡眠中においても続けられるため、人間の体は睡眠中においてもエネルギーを消費し、結果として睡眠の質を落としてしまうのです。
少食化によって消化活動にかけるエネルギーを減らすということは、睡眠の質を上げ、短時間の睡眠でもぐっすりと眠ることに繋がります。
就寝3時間前からはものを食べない
短時間睡眠を習慣化するためには、就寝の3時間前からは一切ものを食べないということが重要です。
通常人間が食べたものを大方消化し終えるまでには4時間前後の時間がかかるとされますが、特に食事から2〜3時間後までは非常に活発に消化器官が活動します。
消化器官が活発に活動しているときの人体は、交感神経優位の軽い興奮状態となっているので、体をリラックスさせて入眠をするには適していないのです。
睡眠に良い物を食べる
また、食事の際には、「睡眠の質を良くする栄養素」を含んだ食品を積極的に摂取するのも良いでしょう。
睡眠にとって効果的な栄養素としては、まず第一にトリプトファンが挙げられます。
トリプトファンはセロトニンという脳内物質の分泌を促進するのですが、このセロトニンには心身を活発にするという機能のほか、夜間にはメラトニンの分泌を促進させるという効果もあります。
つまり、トリプトファンを多く含んだ食品を摂ることで、日中においてはより活動的に、夜間においてはスムーズに入眠をするということが可能となります。
また、トリプトファン以外においても睡眠の質を向上させる栄養素には色々なものが存在します。ここからは、それらの内の一部について簡単に紹介をしていきます。
トリプトファン
トリプトファンを多く含んだ食品としては、哺乳類や鳥類、魚類などの肉、乳製品などの動物性タンパクのほか、穀類、豆類などが挙げられます。
特に、肉類に関してはトリプトファンが効率的に摂取できる食品として知られています。
カルシウム
カルシウムには精神を安定させ、昼夜のメリハリを良くする効果があります。
多く含まれる食品としては乳製品のほか、大豆や葉菜などが挙げられます。
硫化アリル
硫化アリルには疲労を回復し、ストレスを緩和する効果があります。
多く含まれる食品としてはネギや玉ネギ、ニラ、ニンニクなどが挙げられます。
グリシン
グリシンには入眠をスムーズにする効果があります。
グリシンを多く含んだ食品としては動物性タンパク全般が挙げられますが、その中でも特にゼラチンの多い部位や魚介類などに多く含まれています。
日中に仮眠を取る
短時間睡眠により日中どうしても眠気が発生するという場合、短時間の仮眠をとるということもおすすめです。
例えば歴史上において、短時間睡眠を行っていた人物としてはナポレオンが有名ですが、ナポレオンは暇があれば仮眠を取り、昼寝をすることも多かったということが知られています。
実際に仮眠を取るというときに気を付けたいこととしては、「寝過ぎない」ことです。日中に寝過ぎることは、肝心の夜間に眠れなくなってしまうということに繋がってしまうからです。
短時間睡眠を行う場合の日中の仮眠時間の目安としては、およそ15〜20分程度が良いでしょう。
逆に30分以上の仮眠は寝過ぎとなり、夜の不眠や仮眠から目覚めた際に疲労感やだるさを感じることに繋がります。
日中に運動をする
日中に適度な運動を行うということは、短時間睡眠の習慣にとって良い影響が存在します。運動内容としては、ウォーキングや遅めのジョギングなど、軽めの有酸素運動が良いとされます。
軽めの有酸素運動をすると、脳内ではエンドルフィンという興奮ホルモンが分泌されます。これが分泌されることにより交感神経が活発化し、爽快感や集中力が感じられやすくなります。
さらに日中に活動的になった心身は、夜間には自然と休息を求めるようにもなります。このためスムーズに入眠をするということも可能になるのです。
入浴時間を長くする
短時間睡眠における睡眠の質の向上には、長めの入浴も効果的です。
入浴によって体を温めることは、副交感神経を活発化させ、スムーズに入眠をすることが可能となります。
また、体を温めることは、脳においてデルタ波という波形を形成することにも繋がり、このデルタ波によってさらにスムーズな入眠に繋がります。
具体的には入浴時間の長さの目安としては、湯船に続けて30分程度入浴するのが良く、時間帯としては就寝の2時間前に入浴するのが良いでしょう。
寝る前にPC、スマホを見ない
睡眠の質を向上させるためには、寝る前にPCやスマホなどの情報機器を見ないようにするということも重要です。
PCやスマホの画面から発せられるブルーライトと呼ばれる青い光は、交感神経を刺激しメラトニンの分泌を抑制するという作用を持っています。
さらに、それらの情報機器によってもたらされる多くの情報は、それ自体としても人間の脳を興奮させてしまいます。
就寝の2時間前からはPCもスマホも見ず、交感神経を刺激せず興奮を鎮めるよう努めましょう。
就寝一時間前から電気を暗くする
就寝の2時間前からは情報機器を見ないということに加え、さらに1時間前からは部屋の電気を消してしまうということが有効です。
部屋の電気を消したばかりの状況では、人間は一時的に交感神経を活発化させます。これは周囲の状況がいきなり暗くなったということに関し、無意識的に本能が警戒状態を作り出すためです。
しかし、それからしばらく過ぎると、人間の脳はその「暗い」という状態に適応し、今度は副交感神経が優位となり、就寝を促す状態に変化していきます。
このようなメカニズムから、入眠をスムーズにしたい場合は、就寝直前に電気を消すのはあまり良くなく、そのさらに前から部屋を暗くしておくのが良いということができます。
寝具を体に合った物に変える
短時間睡眠に必要な睡眠の質の向上のためには、寝具も自分自身に合ったものを選ぶ必要があります。
例えばベッドが自分の体に比較して小さすぎたり、布団が固すぎたり逆に柔らかすぎたり、パジャマのサイズが小さかったり生地の肌触りが悪いという場合、これらは睡眠の質の悪化に直結してしまいます。
また、数ある寝具の中でも特に睡眠の質に影響を与えるのが「枕」です。
枕は基本的に首や頭部を支えるためのものであり、少し固めの物が良いとされます。
また、高さに関しては個々人によって適した高さが異なるため、枕を購入する際には実際に寝転んだ状態で枕の上に頭を置き、使用感を試してみるのが良いでしょう。
ストレスを溜めない
短時間睡眠を成功させるためには、ストレスを溜めないということが兎にも角にも重要となります。
一般的にストレスの多い人というのは、睡眠時間が長くなる傾向にあります。これはストレスの多い人ほど、脳が睡眠中に多くの情報を処理しなければならないということを意味します。
短時間睡眠を習慣づけたいという場合には、ストレスの発散を睡眠以外の方法で行う必要があります。
また上記の理由から、日常的にストレスの多い人や精神状態が良くない人では、短時間睡眠を行うのは大きなリスクを伴う場合もあります。
まとめ
短時間睡眠の実現方法|寝るのがもったいない人のための16のコツ
・徐々に体を慣らしていく
・4時間半を目安に寝る
・23時から6時の間に睡眠を取る
・起床時に太陽の光を浴びる
・起床後にシャワーを浴びる
・朝食をしっかり摂る
・少食を心がける
・就寝3時間前からはものを食べない
・睡眠に良い物を食べる
・日中に仮眠を取る
・日中に運動をする
・入浴時間を長くする
・寝る前にPC、スマホを見ない
・就寝一時間前に電気を消す
・寝具を体に合った物に変える
・ストレスを溜めない
ここまで短時間睡眠のコツをお伝えしましたが、個々人の適性睡眠時間は遺伝子によっても影響を受け、体質的にそもそも短時間睡眠を習慣化するということができない場合もあります。
なので、短時間睡眠を実践する場合には、無理をすることなく、自分の心身の調子と相談をしながら行うようにしましょう。
コメント コメントが多い記事もあります。読んでみるとモチベーションアップに繋がります。