「死んだらどうなってしまうんだろう?」「前世は何をしていたのだろう?」このように、考えたことのある人は多いと思います。
世界には「前世の記憶」を持つ子どもたちが多数存在します。もしも、本当に前世の記憶を持って生まれてきたとするならば、形のない「記憶」はどうやって受け継がれたのでしょうか?
目に見えず科学での解明も難しい、とても不思議な現象だといえます。また、前世の記憶が確かに存在するのだとしたら、多くの人が思い出せないだけで前世の記憶を持っているのかもしれません。
まだまだ未解明な前世の記憶。死後や意識の解明のための研究の一大分野となるかもしれない前世の記憶。いくつかの事例から学び、これから仮説を立て、まつわる謎を紐解いくことにしましょう。
死後の世界ってある?「前世の記憶」と仮説で検証!
前世の記憶の共通点
まずは、前世の記憶を持つ人の一般的な共通点についてお伝えします。これらを知ることによって前世の記憶の謎を解明する手がかりをつかむことができるかもしれません。
- 2~3歳の頃から前世の記憶を話し始め、その記憶は6~8歳頃に消失する
- 衝撃的な記憶が伝わる!?前世で非業の死を遂げていることが圧倒的に多い
- 前世の人格に特徴的に見られた行動や癖などを示す。また、前世時代の人物や物品を見分ける。
- 生まれた子どもに、母斑や先天性欠損が出現する
- あまりにも情報が正確!自分を殺した犯人を特定した3歳児の記憶
- 宇宙飛行士の記憶を持つ事例
- 前世の記憶が、同性愛や、女性的男性・男性的女性に影響を与えているかもしれない事例
- 自分が死んだら、おまえの息子として生まれ変わるとした、アラスカ漁師の事例
- 「筆跡」が生まれ変わりを裏付けしたタラニジ・シングの事例
- 日本にもある前世の記憶を持つ子どもの事例「勝五郎の再生譚」
- 生まれながらに「弾痕のある少年」の事例
- 「30年前死亡した軍人」の記憶を持つ少年の事例
- ゼノグラシア(xenoglossia)を再現した事例
- 批判1:実験と違い、同じ条件で再現できない。しかも、主として人間の記憶に基づく証言に頼っている。
- 批判2:『前世療法』を行う人々があまりに無知(または確信犯)であることに対する批判
- 仮説1:空想や欺瞞
- 仮説2:偶然の一致
- 仮説3:後天的な記憶
- 仮説4:シェルドレイクの仮説
- 仮説5:タッカー博士の仮説
2~3歳の頃から前世の記憶を話し始め、その記憶は6~8歳頃に消失する
前世の記憶を持つ人は、会話が成り立つようになる、2~3歳の頃から前世の記憶を話し始め、6~8歳頃までには全て忘れてしまいます。これは、世界で知られる前世の記憶の事例のほとんどに当てはまります。
肉体の脳の顕在意識が確立する前である幼い頃は、別の前世の記憶が発現しやすいのだと考えられます。
また、大人でも催眠状態の中で年齢を遡行させれば前の記憶を戻すとも言われます。ただし、子供と比べ事例が少ない状態です。さらに言えば、大人の場合は、単に本などを通じて得た知識が潜在意識に眠っていて、それが催眠によって引き出されたに過ぎない可能性もあります。
衝撃的な記憶が伝わる!?前世で非業の死を遂げていることが圧倒的に多い
何故なのでしょうか?前世の記憶を持つ子供達は、前世で死の直前に衝撃的な体験をしている場合が圧倒的です。例えば、事故死したり戦死したりしています。
人の死は世界中で数多く起きているのにも関わらず、非業な死を遂げたものだけが、前世の記憶として後世に伝わるのです。
誰しもが生まれ変わる訳ではなく、いわゆる、強い思い、無念、などを持つものに限り、記憶が発現する点は、とても興味深いのではないでしょうか。
前世の人格に特徴的に見られた行動や癖などを示す。また、前世時代の人物や物品を見分ける。
前世の人物が同じ家族や地域の中にいたとすれば、説明できるかもしれませんが、子どもや両親その他の家族も全く接点すらない遠方の人の記憶は、どうやっても現在の科学では説明ができません。
それが前世の記憶が要因であるかどうかは不明ですが、子供は、全く接点すらない遠方の人の性格や癖の特徴・知識について何らかの方法で知ったことは間違いないことになります。
ゼノグラシアという、生まれた時からまったく触れたことがない言語を使うという現象もあります。これも前世の記憶によるものなのかもしれません。
生まれた子どもに、母斑や先天性欠損が出現する
記憶だけでなく、体に出現する事例も見られます。バージニア大学のジム・タッカー博士は、過去生からの記憶と関連しているアザや出生から身体が欠損している子供のケース210件について調査を行いました。
生まれつきの怪我やアザは、そのうちの43%のケースにおいて(死亡の原因となった損傷の)10平方センチメートルの距離内になり、その多くはまったく同じ場所にあったとされます。
これも、前世の記憶の再現ともに、現在の科学では説明できない不思議で興味深い現象と言えるでしょう。
驚くべき9の事例
これから代表的な9の事例についてお伝えします。事例から仮説を立てる上での最重要な糸口としていきましょう。
あまりにも情報が正確!自分を殺した犯人を特定した3歳児の記憶
前世とひとくちに言うと、ひと昔前の人が前世となると考えがちですが、3歳の少年が語った前世は、彼が生まれる少し前である「4年前」でした。4年前の前世で少年は殺害されており、額の母斑がそのときの致命傷だと語っています。
少年の話した、前世で暮らしていた村や前世での名前は全て実在していることが判明し、さらにその名前の男性は4年前に失踪したことが明らかになりました。
実際に村を訪れた少年は、大勢の中の一人を名指しし
と語りました。そして、その証言通りの場所から男性の遺体や斧が発見され、またその遺体の頭蓋骨は少年の額の母斑と同じ箇所が大きく損傷していました。
その後、少年に犯人だと名指しされた男性は殺害を自供したそうです。偶然の一致で片付けるには、あまりにも情報が正確で「前世の記憶」を信じずにはいられない事例といえます。
宇宙飛行士の記憶を持つ事例
2003年に起こった、スペースシャトルコロンビア号空中分解事故という痛ましい大事故は、記憶に残っている方も多いことと思います。全員が死亡したこの事故には、インド出身の女性宇宙飛行士「カルパラ・チャウラ」さんも含まれていました。
事故からわずか2か月後に生まれたインドの少女「ウパサナ」は、言葉を覚えてからずっと、自分は「カルパラ・チャウラ」だと名乗り「4年前に空で死んだ」ことを語りました。また父親の名前も「バナルシ・ダス・チャウラ」だ、と正確に話していました。
ウパサナは、乗っていた宇宙船に大きな氷塊がぶつかり墜落したと語っており、実際は機体を直撃した断熱材の破片が事故の原因とされる点でも合致しています。
前世の記憶が、同性愛や、女性的男性・男性的女性に影響を与えているかもしれない事例
「マ・ティン・アウン・ミヨの事例」は、前世の記憶が、LGBT(レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(心と体の性の不一致))に影響を与えているかもしれないことを示唆する事例です。
アメリカのバージニア大学で、前世の記憶を持つ子どもの研究を行ったイアン・スティーヴンソン博士は、主に東南アジアで2300の事例を集めました。その中での、ミャンマーの女児「マ・ティン・アウン・ミヨの事例」があります。
マ・ティン・アウン・ミヨ母親が、妊娠中見た夢の中に出てきた男性日本兵。
その男性の日本兵は、夢の中で生まれ変わりを宣言しました。
マ・ティン・アウン・ミヨは、4歳ころいつも落ち込んでめそめそしていた時期があり、母親が理由を尋ねると「日本に行きたい」と答えています。また同時期から、飛行機を見ると極度に怖がるようになり、後に第2次世界大戦当時村に駐在していた日本兵で、飛行機による機銃掃射で命を落としたことを語るようになりました。
マ・ティン・アウン・ミヨは前世について、北日本出身で商店を経営していたことなども語っています。前世の記憶を語り出したマ・ティン・アウン・ミヨがとても男性的となり、服装も遊びも全てにおいて男児のようになっていきました。
そして、ついには、男性との結婚には全く関心を示さず、逆に、女性を妻に迎えたいとすら言い張ったと言います。
自分が死んだら、おまえの息子として生まれ変わるとした、アラスカ漁師の事例
こちらも、アメリカのバージニア大学で、前世の記憶を持つ子どもの研究を行ったイアン・スティーヴンソン博士が探し出した、主に東南アジアで2300の事例のうちの1つです。
「コーリス・チョトキン・ジュニアの事例」では、アラスカで漁師をする伯父のヴィクターから姪のチョトキン夫人へ「自分が死んだら、おまえの息子として生まれ変わる」と告げられたことから始まります。
ヴィクターは2つの手術痕を示し目印とするよう伝え亡くなります。その1年半後に夫人が出産した男の子には、伯父の手術痕と同じ場所に母斑がありました。
コーリスと名付けられた少年ですが、1歳になると「カーコディ」という伯父であるヴィクターの部族名を名乗り、少年の一家には無縁である発動機の取り扱いにも長けているなど、ヴィクターにそっくりの行動をとるようになりました。こうした状態は、少年が9歳になるころまで続いたということです。
「筆跡」が生まれ変わりを裏付けしたタラニジ・シングの事例
インドに住む6歳のタラニジ・シング少年は、2歳から前世の記憶について話し始めています。少年は自分のことを「サトゥナム・シング」と名乗り、父親はジート・シングで60キロ離れたチャクチェラ村に住んでいたことを語っています。
タラニジ・シング少年は、当時16歳だった「サトゥナム・シング」が、スクーターの事故で1992年9月10日になくなったことを鮮明に記憶していました。またその日の財布には30ルピーしか入っていなかったと語りました。
調査の結果、「サトゥナム・シング」は実在した学生で、死亡の原因も財布に残っていた金額までもが一致していたことがわかりました。
その後、法医学者によって行われた筆跡鑑定で、二人の少年の筆跡が完全に一致し「ほぼ同一人物」と発表されました。現在の科学でこれらを説明することはできるのでしょうか?
日本にもある前世の記憶を持つ子どもの事例「勝五郎の再生譚」
海外同様日本でも「生まれ変わり」は古来より信じられてきました。生まれつき目立つあざがあったりすると、近しい誰かの生まれ変わりだといわれることもしばしばでした。
「勝五郎の再生譚」は江戸時代末期の出来事とされ、当時の調べ書きが残されているため比較的信憑性が高い事例とされています。
1815年10月10日に、源蔵を父として生まれた勝五郎は、8歳になると元は程窪村の久兵衛を父とする藤蔵だと語りました。父母の名前をはじめとし父の死後新たに来た継父のことや、自身が6歳で疱瘡にかかり亡くなったことも話しています。さらには、棺桶に入れられた後から生まれ変わるまでのことを詳細に語っています。
翌年、母親と勝五郎が程窪村を訪ね、勝五郎が藤蔵について語ったことが全て事実と合致していたことがわかりました。東南アジアの仏教国では、生まれ変わりが強く信じられているため、こうした前世の記憶は今でも数多く耳にすることができます。
生まれながらに「弾痕のある少年」の事例
前世の記憶を持つ子どもの中には、生まれながらにして身体に異常の見られる場合があります。このため身体の先天性異常が、前世と深く関わりがあると考える専門家もいます。
トルコで生まれたある少年は、男性が「ショットガンで撃ち殺される」という光景が頭に浮かぶことが頻発していました。少年のビジョンに合う記録を探したところ、ショットガンで右の頭部を撃たれ、6日後に死亡した男性がトルコにいたことが判明しました。
この少年は、頭の右側に先天的な異常を持っている上、右耳にもショットガンで撃たれた痕ような症状が出ていました。
また、インドの少年「マハ・ラム」は、前世において近距離から銃で撃たれ死亡した記憶を持っていました。この少年の持つ前世の記憶をたどり、生まれ変わる前の男性について調査をした結果、見つかった該当男性の解剖所見にみられた胸の弾痕と、マハ・ラム少年の胸にあるあざがピッタリ一致しています。
このように、生まれながらにして身体にある異常と、前世の記憶とが関係していると思われる事例も多数発見されているのです。
「30年前死亡した軍人」の記憶を持つ少年の事例
アメリカのバージニア州に住む4歳の少年アンドリューは、ある日を境にし、誰も知らない人物の記憶を母親に話すようになりました。
アンドリューは自分を「30年前に死亡したアメリカ軍の兵士」だと語り、4歳とはとうてい思えないような戦争についての知識や、当時住んでいた場所などの記憶も持っていました。
少年の記憶をたどり調査したところ、1983年にレバノンで起きた「ベイルート・アメリカ海兵隊兵舎爆破事件」により命を落とした、ヴァル・ルイス軍曹に当てはまることが判明しました。
軍曹のお墓を訪れたアンドリューは、突如別のお墓の前に立ち「この人も海兵隊員で仲間だ」と語り、軍曹の記憶を持ち生まれ変わった可能性がいっそう高まる結果となりました。
この事例はこれまでに比べ、長い年月が経過してからの生まれ変わりと見られていますが、前世の記憶は転生までの期間に関係なくしっかりと引き継がれていることを示しています。
ゼノグラシア(xenoglossia)を再現した事例
ゼノグラシアとは、学んだことのない外国語もしくは意味不明の複雑な言語を操ることができる超自然的な言語知識、およびその現象を指します。
生まれ変わりについて研究していた、イアン・スティーブンソン博士は、T.E.というユダヤ系アメリカ人の37歳の女性においてゼノグラシアを確認したとされます。
8回の催眠療法の中で彼女は、かつて自分はスウェーデンの農民でジェンソン・ジェイコビーという名前だと語り、スウェーデン語・英語での受け答えをしたと言います。
スティーブンソンはT.E.に幾つかの言語テストを行ったところ、どれもスウェーデン人を示す結果となりました。
T.E.はペンシルベニア州フィラデルフィア出身で、英語、ポーランド語、ロシア語、イディッシュ語を話す両親の間に生まれ育ちました。T.E.自身は学校でフランス語を学んでいたそうです。彼女の両親、夫も、T.E.がスウェーデンとはまったく関係がないことを認めています。
彼女は催眠療法中に溺死を迫られた記憶を取り戻したとされていて、前世で非業の死を遂げていることが多いという共通点も再現しています。
前世記憶研究の批判について
前世の記憶は、時には単なるオカルトであるとの批判にもさらされます。その理由についてもお伝えしていきます。
批判1:実験と違い、同じ条件で再現できない。しかも、主として人間の記憶に基づく証言に頼っている。
前世の記憶について多くの研究を重ねてきたスティーヴンソン自らも、“前世の記憶”の圧倒的多数が想像の産物であることを指摘しています。また、いわゆる偶発例の場合は、この点がこの種の研究の弱点であり、批判の的になりやすい部分です。
証言それ自体や証言の食い違いなどをそのまま受け入れるのは科学的ではなく、ナンセンスであることには間違い無いので、この批判は非常に正しいと言えるでしょう。
ただし、スティーヴンソンは、この点について、本人や本人から直接話を聞いた人たちに繰り返し面接し、証言の食い違いを徹底的にチェックするという方法を取るようにしています。
また、もし食い違いがあれば、それをそのまま提示し、読者に判断を求め、自らの判断は避けている。こうした態度によって、スティーヴンソンは、かえって高い信頼を得ています。
批判2:『前世療法』を行う人々があまりに無知(または確信犯)であることに対する批判
精神治療1つの方法、または新興宗教の権威のために『前世療法』が使われることがあります。
ほとんどの前世療法家は、驚くべきことに、患者の発言を歴史的事実と照らし合わせる作業をまったくしません。
例えば、催眠がかけられた人の口から、歴史的に正しい事実が語られたとしても、それが「前世の記憶」なのか、それまで本などの情報から得たものなのかはもちろんわかりません。時には、事実から全く掛け離れている作り話であることが容易に説明できてしまうこともあるほどです。
このような前世療法家は、歴史的事実との照合すらせず、患者の治療や、自身の宗教的な権威のために検証せずに作り上げた前世の記憶を利用することがあります。
また、前世療法家の言葉を、科学的態度を持ち合わせずに、無条件的に懐疑的な態度なくして受け入れる人々がいることも、強い批判が起きる原因となっています。
解明に近づく5つの仮説
それでは、前世の記憶の謎について、深く考察し、仮説を立てていきましょう。
仮説1:空想や欺瞞
真っ先に考えられるのはやはり、子どもや家族による「空想」ではないかと言う仮説です。単に想像力を働かせた遊びや欺瞞にすぎないという説です。貧しい家庭で育つ子供が空想により自分を慰めていたりするのではないか、とも言われます。
しかし、前世の記憶の中には、親でも知りえないことや、前世の当時に生きていないと知りえない情報があり、説明できない点があるのも事実です。
仮説2:偶然の一致
「前世の記憶」などのように、実際見て確かめることのできない現象が作り話ではないとするとすると、次に考えられるのは全くの「偶然の一致」です。大切な家族などの「生まれ変わりであって欲しい」などといった思い込みと「偶然」が重なることがあるかもしれません。
「前世の記憶」を持つ子どもは、母斑や欠損などの先天的な身体の異常を持って生まれることが多くみられます。先天的な何らかの異常が起こる確率は、もちろん医学的にも認められています。
しかし、「前世の記憶」を持つ子どもに見られる母斑や身体の異常と、「前世の人物」が死に際し億や傷などと一致する場合が多く見られます。中には、鑑定の結果全く同じ筆跡という場合もあります。
別人のはずの2人の間の一致している点を全、「偶然」で片付けてしまうのは難しい仮説といえます。
仮説3:後天的な記憶
子どもたちが話す「前世の記憶」は、テレビや家族などから聞いたことのある話である、とも考えられます。以前聞いたことを、何かの拍子に思い出したのかもしれません。
イアン・スティーヴンソンのできる限り客観的に科学的に行ったとされる調査によると、子どもたちの「前世での生活」と「現世での生活」に、共通する点がない場合がほとんどで、マスコミの存在しない地域など、情報を得ることは考えられないケースも数多くあります。
また、多くの子どもは言葉を話し始めると同時に「前世」について語るため、家族も知らない人の話を周りで聞いたとは考えにくいのが現状です。さらにこうした子どもたちは、「耳で聞いただけ」の情報では無理な、前世の人物のクセや食の好みが現れることが多いため、仮説には無理があるといえそうです。
仮説4:シェルドレイクの仮説
もしかしたら、前世の記憶は「意識の共有」がその要因であるのかもしれません。
イギリスの元ケンブリッジ大学フェロー、生物学者のルパート・シェルドレイクは、記憶や経験は、脳ではなく、種ごとサーバーのような場所に保存されており、脳は単なる受信機に過ぎず、記憶喪失の回復が起こるのもこれで説明が付く、という仮説を提唱しています。
(シェルドレイクは、生化学において博士号を取得した英国王立協会会員であり、アメリカのPBSテレビは、「現在もっとも注目すべき6人の科学者」の1人に挙げています。)
また、シェルドレイクは、形態形成場仮説、モルフォジェネティク・フィールド仮説(一般的にシェルドレイクの仮説)という、簡単に言えば、「直接的な接触が無くても、ある人や物に起きたことが他の人や物に伝播する」とする仮説を提唱しています。
この仮説は以下のような内容からなります。
1.あらゆるシステムの形態は、過去に存在した同じような形態の影響を受けて、過去と同じような形態を継承する(時間的相関関係)。
2.離れた場所に起こった一方の出来事が、他方の出来事に影響する(空間的相関関係)。
3.形態のみならず、行動パターンも共鳴する。
4.これらは「形の場」による「形の共鳴」と呼ばれるプロセスによって起こる。
また、シェルドレイクは次のような実験も行っています。
一種のだまし絵を2つ用意し、一方の解答は公開しないものとし、もう一方の解答はテレビによって視聴者200万人に公開する。テレビ公開の前に、2つの絵を約1000人にテストする。テレビ公開の後におなじように別の約800人にテストをする。いずれも、この番組が放映されない遠隔地に住む住人を対象とした。
(結果)→テレビ公開されなかった問題の正解率は放映前9.2%に対し放映後10.0%であり、もう一方のテレビ公開された問題は放映前3.9%に対し放映後6.8%となったという。これにより、「公開されなかった問題では正解率は余り変化しなかったが、公開された問題は大幅に正解率が上昇した」
どうでしょうか? この仮説により、前世の記憶の一部を説明することができるかもしれません。ただし生まれた子どもが母斑や先天性欠損が出現するといったことや、夢の中で生まれ変わりを宣言したりすることがある点は、この仮説ではまだ説明できないかもしれません。
仮説5:タッカー博士の仮説
生まれ変わりの研究を40年以上率いたイアン・スティーヴンソン博士の後継者、児童精神科医タッカー博士による、生まれ変わりについての仮説です。
生まれ変わり、前世の記憶について、「科学はこう考える」ということを以下のように示してくれています。
出典:http://www.collective-evolution.com/2016/05/05/6-extraordinary-cases-of-kids-who-remember-their-past-lives/,http://karapaia.livedoor.biz/archives/52219990.html
タッカー博士は、遺作となる本も出しています。
まとめ
死後の世界ってある?「前世の記憶」と仮説で検証!
前世の記憶の共通点
・2~3歳の頃から前世の記憶を話し始め、その記憶は6~8歳頃に消失する
・衝撃的な記憶が伝わる!?前世で非業の死を遂げていることが圧倒的に多い
・前世の人格に特徴的に見られた行動や癖などを示す。また、前世時代の人物や物品を見分ける。
・生まれた子どもに、母斑や先天性欠損が出現する
驚くべき9つの事例
・あまりにも情報が正確!自分を殺した犯人を特定した3歳児の記憶
・宇宙飛行士の記憶を持つ事例
・前世の記憶が、同性愛や、女性的男性・男性的女性に影響を与えているかもしれない事例
・自分が死んだら、おまえの息子として生まれ変わるとした、アラスカ漁師の事例
・「筆跡」が生まれ変わりを裏付けしたタラニジ・シングの事例
・日本にもある前世の記憶を持つ子どもの事例「勝五郎の再生譚」
・生まれながらに「弾痕のある少年」の事例
・「30年前死亡した軍人」の記憶を持つ少年の事例
・ゼノグラシア(xenoglossia)を再現した事例
前世記憶研究の批判について
・批判1:実験と違い、同じ条件で再現できない。しかも、主として人間の記憶に基づく証言に頼っている。
・批判2:『前世療法』を行う人々があまりに無知(または確信犯)であることに対する批判
解明に近づく5つの仮説
・仮説1:空想
・仮説2:偶然の一致
・仮説3:後天的な記憶
・仮説4:シェルドレイクの仮説
・仮説5:タッカー博士の仮説
いかがでしたか?「前世の記憶」にまつわる謎を解明するため、さまざまな仮説を検証してみましたが、納得の行く結論にたどり着くことができたでしょうか?
「科学が非物質的な現象の解明に挑んだならば、10年間で今までの人類の歴史上の発展に匹敵するような進歩を遂げるだろう」との言葉もあります。
記憶や意識についても、より科学的なアプローチは始まっていることが分かるので、前世の記憶の解明は、今後がさらに期待されます。
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