小さくて可愛らしいパンジーの花を、春の始まりに庭先や花壇で見かけたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
小さいながらもカラフルで存在感のあるパンジーは、その花姿が何か物思いにふけっている人の顔のように見えることから、フランス語で「思想」や「物思い」という意味の「パンセ」が語源となって、パンジーという名前が付けられたと言われています。
パンジーの代表的な花言葉は「物思いにふける」「私を思って下さい」で、花名の由来と同じく、花姿がどことなく物思いにふけっているように見えることから付けられたものです。
また、パンジーにはたくさんの神話や伝説があります。
ぐっと黒い花の芯が花全体に表情を持たせ、その様子がどこか神秘的に見えることからたくさんの神話が付けられたのでしょうか。
花言葉の中には、いくつかの神話や伝説に由来するものあり、それらはとてもドラマチックなものばかりです。
たくさんの伝説を背負って、物思いにふけるパンジーはどんなことを考えているのでしょう。そして私たちに何を伝えようとしているのでしょうか。
この記事では、パンジーの持つ花言葉の中から5つを選び、その花言葉がささやくメッセージを詳しくお伝えします。パンジーが静かに叫ぶそのメッセージに耳を傾けてみてください。
パンジーの花言葉|伝説と神話を背負った5つのメッセージ
強い愛のメッセージ「私を思って下さい」
実はパンジーにはバレンタインにまつわる伝説があります。
それは、聖バレンタインが投獄されたときに、牢獄の窓口に咲いたスミレの花にあったハート型の葉を、「私を忘れないで下さい」というメッセージと共に鳩に託したという伝説です。
このことからヨーロッパでパンジーは、バレンタインに恋人に贈る花として親しまれています。
また、「パンジーの花を身につけていると異性の愛情が得られる」と言われ、パンジーは愛や恋の花とされています。
そんな伝説から付けられたパンジーの花言葉は、「私を思って下さい」です。それは、少し悲しくもロマンチックな伝説をそのまま背負った花言葉なのです。
私を忘れないで下さい、どうか私を思って下さい。そんな風に相手を想える愛に、私たちはどれくらい出逢えるのでしょうか。
強く美しい愛を背負ったパンジーの花を、あなたが本当に愛する心を持って想う相手に贈ってみましょう。パンジーが恋愛のお守りとして、二人の愛をより強いものにしてくれます。
本当の愛を伝えるメッセージ「純愛」
恋愛のお守りとしても言い伝えられるパンジーですが、シェークスピアの作品「真夏の夜の夢」の中では、パンジーの花の汁を目にたらすと、目覚めてから最初に見た男性を好きになるという話もあります。
そんなパンジーがたくさんの愛を抱くようになったと言われる、やさしい伝説の一つを紹介します。
ある日、天使たちが春の野に降り立ったとき、美しく咲いている一群れのスミレの花を見つけました。そして「地上にも、こんなに美しい花があるんだ!」と驚いて、花たちにそっと囁きました。
「世の中の人々に、本当の愛の心を伝えておくれ。私たちの面影をお前たちに移しておいてあげるから」
天使たちはそう言ったあと、花に三回キッスをして空高く舞い上がり天国に戻って行きました、という伝説です。
パンジーがたくさんの愛を抱え、恋愛のお守りとして大切にされている、そんな理由に頷けるような伝説ですね。
たくさんの愛を抱えて、今もなお多くの人に本当の愛を伝え続けているパンジーの花には、「純愛」という花言葉はぴったりです。
春は新しい恋がしたくなる季節。そんな春先に小さく、でもしっかりと咲き誇るパンジーの花は、「本当の愛を教えてあげるよ」と私たちにやさしく囁いているのです。
どうかパンジーの花に耳を傾けて下さい。本当の愛の素晴らしさと美しさに触れることができるでしょう。
全てを背負って強くなるためのメッセージ「思慮深い」
よく見るとパンジーの花は、物思いにふけっている人の顔のように見て取れます。蕾も下向きにあるため、うつむいているようにも見え、何かを深く考え込んでいるようです。
一体どんなことを考え込んでいるのでしょうか。
その花姿にふさわしく、花言葉は「物思いにふける」「思想」、そして「思慮深い」です。
この中で、「思慮深い」は紫のパンジーに付けられた花言葉です。深い紫の花色が物想いにふけるだけに留まらず、深く何かを考え込んでいる思慮深い様子を連想させたのではないでしょうか。
パンジーにはいくつかの花色がありますが、実はその花色にはこんな神話があります。
ローマ神話、恋愛の神“キューピッド”の話です。
キューピッドはビーナスの子で、裸で背に小さな翼があり、手に弓を持っている男の子の姿で描かれることの多い神様です。そのキューピッドが放った矢が目標をはずれて、純白のスミレに当たってしまったそうです。
そのとき受けた傷から、スミレには3つの色が生まれたそうです。
神話では3色ですが、現在のパンジーには4つの花色があります。お花に花色があるのはとても嬉しいことですが、花色ができた由来については少し悲しいイメージも受けますね。
キューピッドが誤って当ててしまった矢はやはり痛くて、その傷は花の色を3つに分けるほど大きなものだったのでしょう。
そんな痛みを全て抱えてくれたのが、紫のパンジーなのではないでしょうか。
痛みを全て抱えて、他の花色のパンジーたちが美しく居られるように、紫のパンジーはたくさんの痛みも伝説も全てを背負って、思慮深く生きているのです。
もし、大切な人が傷つき苦しんでいるなら、紫色のパンジーを贈ってください。紫色のパンジーが、その人の痛みを背負い、癒してくれます。
ただそこにあることの幸せ伝えるメッセージ「つつましい幸せ」
そっと顔を近づければ春の香りがしてくるような・・そんな気分になりますが、実はパンジーには香りがありません。一方、パンジーに良く似たスミレにはとても良い香りがあります。
そもそもパンジーはスミレ属で、スミレの一種でもありますが、スミレに比べて花が大きく、花びらが平面であることが特徴です。
それでは、どうしてスミレには良い香りがあり、パンジーには香りがないのでしょうか。
ドイツにはこんな言い伝えがあります。昔はパンジーにもスミレのような良い香りがありましたが、その香りを気に入って多くの人たちが花を摘みに来て、他の野菜までも踏みつけてしまいました。
そこで、パンジーを探しに来ないようにするため、パンジーは自ら「私の香りをなくして下さい」と神に祈ったそうです。すると、パンジーの花には香りがなくなった。というものです。
とても悲しい言い伝えですね。それでも、パンジーが一緒に生きている他の野菜や植物のことを思って神様に祈った・・そのやさしさには心が温まります。
そして、きっとパンジーは、香りがなくてもただそこに命があるだけで幸せ。他の植物たちと一緒にそこに居られるだけで幸せ。そんな小さな、小さな幸せを願ったのではないでしょうか。
そんなやさしいパンジーの心に、「つつましい幸せ」という花言葉はぴったりではないでしょうか。
つい多くのことを望みすぎてしまう現代の私たちに、パンジーが何もなくても、ただ当たり前に当たり前のものがあることの幸せ、ただそこに命があり生きていけるという幸せを教えてくれています。
「つつましい幸せ」。それは、一見とても地味でつまらないことように思えますが、どんな大きくて派手なことにも代え難い、温かくそしてそれ無しでは生きて行けない、とても大切な幸せなのです。
そんなパンジーの花を、「毎日を笑って暮らせるだけで幸せ。それ以上は何も要らない。」と思える、大切な相手に贈ってみてはいかがでしょうか。
やさしくなれるメッセージ「天真爛漫」「温順」
たくさんの神話や伝説を背負ったパンジーの花でしたが、その伝説は決して美しいものだけでなく、悲しみや苦しみを感じるものもありました。
しかし、今もなお咲き誇るパンジーからはそんな悲しみを感じることがありません。
まさに「天真爛漫」に咲き誇り、「温順」な気持ちを持たせてくれるパンジーの花を見ていると、心がほっこり温かくなります。
パンジーの花がこれほどまでにやさしい気持ちを持たせてくれるのは、きっとそれだけたくさんの苦労を背負ってきたからです。
天真爛漫な笑顔は、たくさんの悲しみや苦しみを乗り越えて初めてできる笑顔なのです。
苦労のない人の笑顔はとても美しいけれど、どこか深みが無くその笑顔に心を打たれることはありません。本当に天真爛漫な人の笑顔、それはたくさんの涙を乗り越え、苦しみを知ってこそ笑える、そんな笑顔なのです。
パンジーの花は、たくさんの伝説を抱え、苦しみも悲しみも背負いながら・・愛と勇気とやさしさを握りしめて咲き誇っているのです。
だからその花姿は天真爛漫に、見ている人の心を温順にさせることができるのでしょう。
まとめ
パンジーの花言葉|伝説と神話を背負った5つのメッセージ
・強い愛のメッセージ「私を思って下さい」
・本当の愛を伝えるメッセージ「純愛」
・全てを背負って強くなるためのメッセージ「思慮深い」
・ただそこにあることの幸せ伝えるメッセージ「つつましい幸せ」
・やさしくなれるメッセージ「天真爛漫」「温順」
パンジーにはたくさんの伝説や神話、さらには言い伝えがあり、花言葉はどれもそんな伝説に由来するものであることが分かりました。
ちょっぴり悲しい伝説も言い伝えも、全てを背負ったパンジーは、とても強く美しく、私たちをやさしい愛で包み込んでくれているようです。
なお、伝説や神話の中にはスミレが登場していますが、昔はスミレとパンジーは同じ花だったと言われています。今もパンジーはスミレ属のため、パンジーはスミレの一種であると言うこともできます。
ときを重ねるにつれ、品種改良が進み野生のスミレがパンジーやビオラに変わっていったそうです。
伝説から唄うパンジーの花言葉は、どこか説得力がありロマンチックでもあります。春になったらパンジーの花を眺めて下さい。可愛らしい花姿の中に、たくさんの伝説が聞こえてきそうです。
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