厚生労働省の行った調査によると、日本人のおよそ15人に1人が一生涯の内で一度はかかると言われている病気、それが「うつ病」です。
また、古代ギリシア時代の医師、ヒポクラテスの文献にもうつ病の記載がなされており、うつ病は人類の文明の歴史とも切っても切り離せない深い繋がりがあります。
このように考えると、うつ病とは「自分には関係ない」として済ますことの出来るものではなく、誰しもがかかりうる非常に身近な病気であるということがお分かりいただけると思います。
今回見ていくのは、このうつ病の原因と、その対策です。なぜ人はうつ病になり、そしてそうならないため、あるいはなってしまった場合にはどのような対処法があるのでしょうか。それでは、早速見て行きましょう。
非常に身近な病気、うつ病、なる前に知っておきたい原因と対策・見つけ方
うつ病の原因
ストレス
まず、もっとも直接的な原因として挙げられるのが、ストレスです。その中でも最もイメージをしやすく、身近に感じられるのが、仕事などでの人間関係に起因するストレスではないでしょうか。
その他のストレス要因としては、気候や天候なども挙げられます。ヨーロッパ、特に北欧では古くからうつ病での自殺が問題になってきましたが、これはこれらの地域において時期よっては日照時間が非常に短くなってしまうということが原因であるとされています。
ヨーロッパにおいて「バカンス」と呼ばれる長期休暇制度が一般化しているのは、暖かい地方で日光浴などをして心身を健康に保つという目的があるためです。
また日本においても冬から春先にかけては、うつ病など精神疾患の患者が増加します。
性格
同じようなストレスを経験したとしても、すべての人がうつ病になるとは限りません。同じような「ある出来事」を体験したとしても、それをどう解釈し、その解釈をどのように行動に反映させるのかは人それぞれ性格によって異なるためです。
一般的に、「うつ病になりやすい」性格としては神経質、几帳面、頑固、責任感が強い、完璧主義、理想主義、八方美人などが挙げられます。
遺伝
「親と子では性格が似る」というのは昔から言われ続けていることでありますが、近年の実証的な研究により、遺伝により神経伝達物質の分泌量が変わるなどして「性格が遺伝する」という事実が明らかになるようになりました。
これは「うつ病になりやすい性格」が遺伝するということを意味しています。
統計的には親族にうつ病患者がいる場合、家族内での発症率はそうでない場合の2~3倍になると言われています。
また一卵性双生児の片方がうつ病である場合、もう片方が同じようにうつ病に罹る確率は90%と言われています。
ただし、こうした統計データを以って、「うつ病は遺伝する」とあまり大げさに言ってしまうのも賢明とは言えません。
なぜなら遺伝子というのはただ「同じものを持っている」だけではその人(個体)の特徴を決定づけはせず、その遺伝子が「発現」することによって初めてその人個人の特徴として表れるからです。
つまり「うつ病になりやすい遺伝子」だけで人はうつ病になるのではなく、親族にうつ病患者がいることによるストレスなどが「うつ病遺伝子」の働きを発動させるというわけです。
うつ病の対策
太陽の光を浴びる
太陽の光を浴びることは、うつ病の予防、早期改善に非常に大きな効果を持ちます。人間の脳は太陽の光を浴びるとセロトニンという物質をより多く分泌するようになります。
このセロトニンは、アドレナリンやドーパミンといった脳内でストレスの元となる興奮物質の量を調整する機能を持ち、心身のバランスを整えリラックスさせる働きをします。
また、太陽の光を浴びる場合には、軽い運動を併せて行うことがより効果的であるとされ、朝日を浴びながらウォーキングやジョギング、サイクリングをすることなどがうつ病を扱う医療機関などでも奨励されることがあります。
課題に優先順位をつける
うつ病は一般的に責任感が強かったり、完璧主義的な人が罹りやすい病気であると言われています。これらの性格の傾向を持った人は「あれもこれも」とさまざまなことを抱え込みやすく、それがストレスの元となる場合が多いのです。
これを解消するためには、「やらねばならない課題」に優先順位をつけるのが効果的です。物事に優先順位をつけることで、その下位のものに気を煩わされることがなくなり、悩みやそれに伴うストレスから開放されやすくなります。
食事に気をつける
うつ病に効果のある食品としては、まずはこれまたセロトニンの生成を助ける物質であるビタミンBと葉酸が挙げられます。これらの物質を多く含む食品としては、葉物野菜が挙げられます。
またビタミンBは豚肉や貝類にも多く含まれています。またセロトニンを含む脳内物質の生成を促進する栄養素としては、ミネラル類も挙げられます。ミネラル類は、主に動物性の食品に多く含まれています。
お医者さんに行く
これら上記の対処法は、あくまで「予防」もしくは「初期症状の緩和」に効果がある物事です。中~重度のうつ状態の場合は、小手先の生活習慣の改善ではどうにもならない場合が多いですので、専門医に相談することをオススメいたします。
うつ病かも・・・変化の見つけ方
全体的な変化
全体の様子として、以下のような変化がある場合はうつ病の可能性があります。
・ふさぎ込んで、元気がない
・物忘れや言ったことを覚えていない
・今日の出来事や新聞・テレビ・雑誌など頭に入っていない
・趣味や好きなことに無関心になった
・いつもイライラしている
会話の変化
また会話の中で見受けられる傾向としては下記です。
・ボソボソや独り言をするようになった
・あまり喋らなくなった
・話が続かなく、ぼんやりしている
・生きがいがないとか、人生の無意味さを語ったりする
・「死にたい」と口に出すようになった
行動面での変化
行動面からうつ病の人によく見受けられる傾向としては下記になります。
・服装に無頓着になった
・会社や学校へ行きたがらなくなった
・不登校や無断欠勤をする
・食欲がない、味覚が以前と変わった
・家事ができない(食事、掃除、洗濯など)
体調面での変化
体調面からは、本人以外はよく観察していないとわかりにくいことも多いのですが、わかりやすい変化としては下記のような傾向があります。
・あまり食べなく痩せてきている
・過食に走るようになった
・朝起きれなくなり、よく遅刻する
・眠れない、疲れた、だるい、頭が痛い、胃が痛いなどの発言が頻発するようになった
・肩こりやめまいで苦しむようになった
・今までにな身体の痛みを感じる
もし上記のような変化が見つかったら
もし本当にうつ病であれば、ほとんどの人がうつ病に対して素人であり、偏見を持っているかもしれません。
問題ないと放置してしまったり、うつ病の人への接し方を誤ったら、最悪の場合自殺や精神疾患に陥るなど危険なことになる可能性もあるのです。
だいたい2週間以上に渡り上記のような状態が見受けられた場合は、早めに医療機関に受診をしてください。
またあなたの周りの人が当てはまる場合も、急いで一緒に病院に行ってあげましょう。
まとめ
非常に身近な病気、うつ病、なる前に知っておきたい原因と対策・見つけ方
うつ病の原因
・ストレス
・性格
・遺伝
うつ病の対策
・太陽の光を浴びる
・課題に優先順位をつける
・食事に気をつける
・お医者さんに行く
うつ病かも・・・変化の見つけ方
・全体的な変化
・会話の変化
・行動面での変化
・体調面での変化
・もし上記のような変化が見つかったら
うつ病は些細なキッカケで発症する可能性のある病気ですが、一方で日常生活の中である程度予防することも出来ます。
ぜひ日頃からうつ病予防のための「ストレス・マネジメント」を実践していってください。
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