あなたの周りにうつ病を患っている人がいるなら、今まで通りには接することが難しく感じているかもしれませんね。
ちょっとした一言が本人やその家族を深く傷つけることがあります。最悪の場合、自殺や犯罪、何かへの依存症化など重大で取り返しのつかないことにもなることもあります。
このようなうつ病の人に対しての誤った接し方をしてしまう大抵の原因は、うつに対しての理解が不足していることです。
うつ病は、本人の気持ちの持ち方や周りの励ましで解決するような容易なものではなく、もっと深刻に捉えるべきものだからです。
もしかしたら、あなたも気づかないうちにうつ病に対して謝った知識や偏見を持ってしまっているかもしれません。
そこでこの記事では、うつについて理解を深めながら、うつ病の人と接する上で十分に注意したい禁句とうつの人を助ける優しい接し方についてお伝えします。
鬱の人との接し方と決して言ってはいけない言葉
うつ病への理解を深めよう
うつ病は心の風邪?
うつ病は「心の風邪」とよく言われます。これらは様々な点でうつと風邪に類似点があるからです。
まず、風邪もうつ病も共に本人がなりたくてなっているわけではありません。共に休息が必要です。共に原因があります。そして共に必ず治ります。
しかし相違点もあります。風邪は人からよく理解されますし、誰もが風邪の対処法を知っていますし、病院に行き、薬を飲んで休めばすぐに回復します。
一方でうつ病はなったことがない人はなかなか理解できません。ほっておいて回復するものでもありません。
また、風邪が原因で死ぬ人はめったにいませんが、うつ病が原因で死ぬ人は多くいます。
日本においても、しばらく毎年3万人以上の人が自殺していましたが、そのほとんどはうつ病などの精神疾患が原因だったと言うことができるでしょう。
どれほどの人がうつ病で苦しんでいるか
厚生労働省の報告によると、日本ではうつ病などの気分障害の患者の数が2008年に100万人を超えてから年々増加していいき、2015年では111万6000人と過去最多になったとされます。
意外なことですがこの数字を世界と比べると日本のうつ病患者数はかなり少ないようで、アジアの中では最下位でした。
しかしそれで安心することは出来ません。
東京大学大学院医学系研究科の川上憲人教授による「こころの健康についての疫学調査に関する研究」によると、日本には300万人以上のうつ病の患者がいると推定されています。
この数字が正しかったとしたら実に憂慮すべき事態ではないでしょうか。4人に3人がうつ病であるのにもかかわらず、治療をせず一人で苦しんでいるのです。
近年ようやくうつ病に対して認知度が上がり、理解してくれる人が増えているようになっていますが、アメリカなどに比べるとまだまだ認知されていません。
自分がうつ病であると認知していない人、治療を受けるのを恥ずかしいと思っている人、周りからの評価を怖れて隠し続けている人など、あなたの周りにもたくさんいるかもしれません。
うつ病の種類
結論から言うと、うつ病は十人十色と言われ、うつ病と診断されたからとすべての人が同じ症状になるわけではありません。
そのため、うつ病の人と接するときのマニュアルのようなものは存在するわけではありません。
ただし、症状は異なりますがうつ病を大きく分けると下記のようなタイプに分けることができます。
まずその人の大まかな症状を知り、その後、その人に合った接し方を考えましょう。
大うつ病性障害
大うつ病性障害は症状が6か月かそれ以上続き、治療せずにおくと生活の多くの面に支障をきたします。
「大うつ」といってもこれはうつ病が重症である、という意味ではありません。
大うつ病(英語:Major Depressive Disorder)の「大」はメジャー、つまり一般的なうつ病のことを指します。
うつ病と診断された人の多くが、大うつ病性障害ということができるでしょう。
双極性障害
双極性障害は躁うつ病としても知られています。感情面での両極端を経験し、異常なほど活発になる躁状態と、ひどく落ち込むうつ状態を繰り返します。
躁状態とうつ状態は対照的ですが、どちらも感情のストップがかからないという意味では同じと言えるでしょう。
気分変調症
気分変調症は大うつ病ほど症状が重くないものの、通常の生活を営むのが難しくなります。
気分変調症の人が断続的に大うつ病のような状態になることもあります。軽いうつ病といわれるのはこの類です。
産後うつ病
産後うつ病は出産後の母親を悩ます気分障害のことです。
かつてはただのヒステリーと間違われていましたが、今では病気として認められています。
しかしこれは一時的なものであり、治療は比較的楽に進むことが多いです。
季節性情動障害
季節性情動障害は秋や冬の日照時間の減少に伴って生じるようです。
たいていは、春や夏になると自然に治ります。
非定型うつ病
正式なうつ病に加えて「新型うつ病」「プチうつ」と呼ばれるものもあります。これらはメディアが作った造語で正式な病名ではありません。
「非定型うつ病」が、この種のうつ病に当てはまる正式な病名でしょう。
このうつ病を患っている人はうつの症状が出るので仕事を休みますが、休みの間に旅行に行く、など周りからは理解されない行動をとります。
そのせいで周りからは甘えている、サボっている、仮病と評価されてしまいます。
しかし症状は普通のうつ病と同じなので本人はとても苦しんでいます。実際に症状は同じなので病院に行くと大抵、うつ病と診断されます。
ただ、新型うつ病は専門家の間でも意見が分かれています。
マニュアル通りの診断ですぐにうつ病と判断する医者も多いですし、正式な病気ではないので本人の自覚が必要だとする医者が多いのも事実です。
しかし、認知療法の観点から見ると治療の必要な患者です。
放っておくと仕事の生産性も落ち、やがて仕事に来ることすら出来なくなってしまうかもしれません。
脳内で何が起きているか
うつ病になると脳の中で何か起きているのか具体的に考えてみましょう。
うつ病を詳しく定義すると、脳の中でセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンという神経伝達物質が減った状態です。
これらは脳内の三大神経伝達物質と言われバランスよく分泌されると、やる気や意欲、気分の高揚など、人間の精神面に良い影響を与え、身体機能も活発に働かせる効果があります。
また、これらは「幸せホルモン」とか「脳内モルヒネ」とも呼ばれる、私たちが幸せに感じるための物質の一つです。
しかし反対に分泌が減少すると、不安、食欲や意欲の低下など、抑うつ状態を生み出します。
ここからはそれぞれの物質がどのようにうつ病と関係があるのか見てみましょう。
ノルアドレナリンがもたらす影響
これは別名「怒りのホルモン」とも言われ、恐怖や緊張に関係する物質ですが、やる気や意欲を高める特徴を持っています。
よく知られているアドレナリンが運動能力を高めるのに対し、このノルアドレナリンは精神に作用します。
そしてこのノルアドレナリンはアドレナリンを増やす経路にもなります。
もしこのホルモンが不足すると、仕事や学習能力の低下、判断力の低下、無気力、無関心、また自律神経系の働きの乱れから朝起きられないなどの抑うつ状態の症状が表れます。
逆に過剰に分泌されるなら、感情がコントロールできなくなり、怒り、不安、恐怖などの感情が強まります。
ドーパミンがもたらす影響
これは「快感物質」と言うことができます。
食欲、性欲、睡眠欲など私たちの3大欲求に加え、地位や報酬を得たいという人間の欲望は快感を得たいという欲求に集約できます。
このいわゆる「煩悩」はドーパミンの分泌によって満たされ、私たちはこの快感によりさらにそれを行いたいという意欲が生み出されるのです。
また、ドーパミンはノルアドレナリンを増やす経路にもなっています。
なのでドーパミンが不足すると、食欲の低下、不眠、服装がみだれる、などの抑うつ状態の症状が現れます。
一方過剰に分泌されるとその快感に依存してしまい、別の問題を引き起こしてしまいます。
アルコール中毒、コカイン中毒、ニコチン中毒などはドーパミンの過剰分泌による快感への欲求が制御できない状態とされます。
セロトニンがもたらす影響
この物質がうつ病であるかそうでないかを直接に決めることができる一番大切な役割を担っている言えます。
脳科学的に見てうつ病とは、「セロトニンが不足している状態」と説明することができるからです。
セロトニンそのものが精神を安定させ、幸福感を生み出すという役割を持っていますが、先に紹介したドーパミン、ノルアドレナリンをコントロールするという、いわば「司令官」的な役割を担っています。
つまりセロトニンがきちんと分泌することによって、感情と快感をコントロールし私たちがバランスのとれた安定した人間になるのを助けます。
しかしこの物質が不足すると、ドーパミンやノルアドレナリン神経が暴走しうつ病の症状が表れるのです。
身体の痛みを訴えることがある
うつ病になると、腹痛や頭痛など身体の痛みを訴える人もいます。
実際にうつ病を患っている人の約6割が何らかの痛みを感じているとされます。
これは実際に疾患がある場合を除き身体そのものに原因があるわけではなく、これも脳に原因があるのです。
ある若い男性の例を紹介しましょう。
急いで家族が病院に連れていきお医者さんに診てもらいました。
家族は心筋梗塞かと心配しましたが診断の結果、彼の心臓はいたって健康そのものだということでした。
では彼に何が起きたのかといえば、これもセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンが不足していることが原因でした。
これらの物質は気分を向上させるだけでなく、痛みを抑える働きもあるとが分かってきています。
余談ですが、腰痛は椎間板ヘルニアが原因だと長く考えられていました。
しかし実際に腰痛のほとんどはストレスによるセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンの不足が原因であることが分かったのです。
椎間板ヘルニアは椎間板が削れることによって痛みが生じますが、通常はセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンが分泌されその痛みを抑えているのです。
少し話が逸れましたが、あなたの周りの人から、
「最近頭痛がひどいんだけど病院にいっても原因が分からないと言われた」
というような話を聞いたら、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどの不足が原因で、その人はうつ病になっているのかもしれません。
主なうつ病の治療法
薬物療法とは
うつ病は自分で負の感情をコントロールできません。双極性障害の場合は、高揚感もコントロールできなくなります。
そこで、セロトニンなどの神経伝達の減少を抑える薬を投与して、うつの症状を薬で外部から制御しようとするのが薬物療法です。
しかし、これは熱が出たときに薬局で買う解熱剤を飲むようなものです。
薬局の解熱剤は身体が出している過剰なサインを抑えているだけで、菌を殺す抗生物質は入っていません。
同じように、薬物療法だけではうつ病になった本当の原因を解決しているわけではないことを理解しておきましょう。
また薬なので当然副作用があります。うつ病の際の薬物療法も神経伝達物質の減少を抑えるものであり、増加を促すものではありません。
認知療法
認知療法とは、「感情は思考によって生じるものである」という理論のもと、思考の制御の仕方を学ぶものです。
薬に例えるなら抗生物質が含まれている処方箋と言えることができるでしょう。
認知療法を正しく行うことは、うつ症状が現れる思考パターンを分析し、セロトニンなどの快感物質が自然分泌するよう助けることになります。
ただ残念なことに、現在日本において正しい理解に基づいた認知療法を行うことが出来る医師は少ないのが現状です。
処方箋はお医者さんが診断した後に、必要な薬が必要な量だけ渡されるのと同じように、この認知療法は専門的な絶対的な知識が必要なのです。
しかし、素人のあなたでもうつ病の人と接するときに認知療法を学ぶなら、ある程度正しい接し方が出来るようになるでしょう。
それくらい非常に高い効果が期待できる治療法なのです。
もし病院に行きたがらない場合
4人に3人はうつ病なのに診察に行っていません。しかし、もしその人が自殺を考えているなら一刻も早く治療が必要です。
「死にたい」と口癖になっているからといって、「また言ってる」と思って軽く考えないようにしましょう。
うつ病を患っている人が実際に自殺してしまう確率は非常に高いです。
では本人が病院に行きたがらない場合どうしたらよいでしょうか。
各都道府県には精神保健福祉センターという無料の窓口が設置されています。
そこでは資格の持った医師が相談に応じてくれます。良い精神科やどのように説得するべきかを詳しく教えてくれます。
うつ病の人への4つの禁句
言葉の力を考える
「剣で突き刺すかのように無思慮に話す者がいる。しかし、賢い者たちの舌は人を癒す」
これは3,000年ほど前に書かれた格言ですが、言葉の持つ力をよく表現しているのではないでしょうか。
そうです。言葉には良くも悪くも力があります。誰もが言葉によって救われたり、傷つけられたりします。
まして感情を制御するのが難しいうつ病の人は受けるダメージが違います。苦しんでいる人の心を突き刺すような言葉は絶対に避けなければなりません。
うつ病の人を傷つける言葉の中には、あなたにとっては普通の言葉も含まれていますので、なぜそれで傷つくのか理解できないこともあるでしょう。
しかし求めていることは基本的には変わりません。それは理解されることです。
理解した上での誠実な言葉を伝えることは、うつ病の人に対しても誰にとっても剣ではなく癒しになるでしょう。
ではここからは、うつ病の人へ言うべきではない4つの禁句に注目してみましょう。
励ましの言葉
うつ病の人に「頑張ってね」と言ってはいけないことはよく知られています。しかしなぜこのような励ましの言葉が禁句なのでしょうか。
それは風邪をひいて休んでいる人に「風邪ひかないでね」と言っているようなものだからです。本人はなりたくてなっているわけではありません。
実際、うつ病の人に「大変だろうけど頑張ってね」というと本人はこのように聞こえます。
「お前は本当にダメな人間だ。頑張れば治るのに何もしていない。だからもっと頑張れ」
これは決して大げさな表現ではありません。本人は常に自分を責めているのです。
発熱などの風邪症状は体を休めるための症状です。風邪をひいたときに必要なのは休息と栄養です。
これらが必要なので脳は風邪の症状を出して、身体を強制的に休ませようとしています。
同じように、うつ病は頑張りすぎの病気です。
頑張りすぎて、完璧を求めて、自分を責めて心身疲れ果てて病気になっています。
その人に必要なのは励ましの言葉ではありません。気遣いや理解が必要なのです。
責めるような言い方
誰しも人から責められたくありませんが、うつ病の人にとって責めるような言い方は一番ダメージのある言葉です。
風邪をひいて寝ている人に「いつまで寝ているんだ!」と責めるような言い方をする人はあまりいません。症状が目に見えるからです。
しかしうつ病の人の症状は目に見えないので、ただゴロゴロしているように見えることもあるでしょう。
でもそれはうつ病の人にとって必要な休息の時間なのです。
そして本人も早く治って仕事をしたり、家事をしたりしたいと思って自分を常に責めています。
あなたが責める言葉を使ってしまうと、本人が自分を責めているその言葉が正当化され、さらに追い詰めることになります。
また、そのつもりが全くなくても、責めるような言い方にならないように注意を払うようにしましょう。
例えば、「いつ治るのかな」という言葉は、今病気であるその人を間接的に責めていることになることがあります。
理解しているような言葉
風邪は誰しも一度はなったことがあるため症状を理解することが出来ます。一方うつ病はなったことがない人にはなかなか理解されません。
何もわかっていないのに、理解しているような言葉や言い方はうつ病の人を傷つけます。
うつ病に限らずこれは多かれ少なかれ普段の生活でも同じことが言えるのではないでしょうか。
理解しているような言葉は、例えばうつ病の人が自分の苦しみを打ち明けたときに、このような言葉で表れるかもしれません。
「君がつらいのはよくわかるよ。でもそんなこと気持ちの持ちようじゃないかな。」
この言葉には理解していないことを様々な点で示しています。
まず、どれほどうつ病の人がどれほどつらいのかがわかっていません。
また、うつ病ではない人にとって「そんなこと」かもしれませんが、うつ病の人にとっては「そんなこと」ではありません。
そして神経伝達物質の分泌が少なっているのに「気持ちの持ちよう」でどうにかなる問題ではありません。
理解しているような言葉の中には他にも「早くよくなってね」(本人が一番よくなろうと頑張っている)とか、「あまり落ち込まないでね」(落ち込むのは本人にとってどうしようもできない)といった言葉にも表れます。
ではどうやって理解している(しようとしている)ことを表現するべきでしょうか。
あなたは理解しづらい複雑な問題に当たったとき、どのように他の人に接してほしいと思いますか?
理解されていないのは悲しいことですが、その人が自分のことを完全には理解できない、ということを正直に認めているならそれを不快には感じません。
そしてたとえ理解できないとしても、「精一杯理解しようと誠実に努めている」ならそのことに気付いたときに嬉しく思います。
うつ病の人も同じです。どれほどつらいか理解できないにしても、その人が本当につらいという事実は受け止めてあげてください。
そして思慮深く考えて言葉を発するなら、その言葉は剣にはなりません。
解決するような言葉
苦しんでいる人を見たらその人の助けになりたい、と感じるのは自然なことです。
しかしうつ病の人にそれを言葉に出してアドバイスするときには注意が必要です。
本人はすでに心が消耗しているのです。「~してみたら」というような提案の言葉は、そうしたくてもできないその人にとって重荷となります。
そしてできない自分をさらに責めることになります。
他にも「どうしてこうなったのかな」とか「今後どうしたらいいと思う?」というような言葉も重荷にしかなりません。
ではどうしたらうつ病の人の助けになることができるでしょうか。
うつ病の人を助けようとする、つまり行動させるのではなく、私たちが頼みやすいように環境を整えておくなら、それはその人にとってそれは重荷になりません。
「~してみたら」という言葉の代わりに、リラックスした雰囲気の中で「私に何か出来ることはないかな」とか「何かあったらいつでも連絡してね」と言ってあげましょう。
こんな言葉が聞けたなら、うつ病の人は自分のペースで治療に専念できますし、あなたがそばにいるという安心感を得ることができます。
うつ病に即効薬はありません。根気強さと努力が求められますが、一番つらい思いをしているのは本人であるということを忘れないようにしたいものです。
うつ病の人にしてあげられること(優しい接し方)
思考パターンは変えられる
うつ病の人に禁句があるからといって、はれ物に触るかのように接することは避けなければいけません。ではどのように接したらよいのでしょうか。
うつ病の直接の原因は歪んだ思考パターンです。寂しさや惨めさ、自分がダメな人間だという気持ちに圧迫されているならそれは歪んだ思考です。
寂しさや惨めさは一時的な感情であるはずで、圧迫されて押しつぶされてしまうものではありません。本当にダメな人間は自分がダメだと思っていないからです。
このような否定的な感情は自分の思考が作り出した産物にすぎません。逆にポジティブな感情もしかりです。
こうなれば幸福になるというものではなく、自分の思考パターンによって人は幸せだと感じることができます。
実際、「結婚しなければ絶対幸せになれない」と思いている人がいるのに対し、「離婚しなければこの不幸から逃れられない」と感じている人もいるのです。
配偶者がいる、いないは幸せの条件ではないはずです。
意識的に強い感情をコントロールすることはなかなかできませんが、思考パターンは訓練することにより誰でもコントロールすることができます。
ゆっくり話を聞いてあげよう
うつ病の人の症状が落ち着いたと感じているならば、ゆっくり話を聞いてあげてください。人に話すことは考えを整理するのに役立ちます。
考えが整理されたなら、なぜそのような感情が生まれたのかを一緒に考えてあげましょう。そこに必ず歪んだ思考パターンがあるはずです。
それはこの世の中に起こるネガティブなことだけに注目しているかもしれません。
あるいは、誤った先読みをしているのかもしれませんし、感情的な決めつけかもしれません。
その歪んだ思考パターンに気付いたなら、それがいかに非論理的であるのかを気付かせるようにしてください。
紙に書き出してみると、歪んでいることにすぐに気が付くかもしれません。
ただし、「アドバイスしてあげよう」とか「治してあげよう」とは考えず、あなたは一緒に考えることに徹しましょう。
うつ病を乗り越えることができるのは本人だけなのです。
感謝しよう
誰かに心から感謝している瞬間というのは、それだけで幸せな気持ちになることができます。
もしこのポジティブな思考パターンを作り出すことができたら、それは抑うつ状態から抜け出す大きなきっかけになるでしょう。
しかし、うつ病の人は常に自分を責め続けネガティブなことばかりを考えてしまい、心の余裕がなく、なかなか人に感謝する気力はない、もしくは感謝する思考自体がないかもしれません。
そこで、あなたがうつ病の人の前で、誰かに対して、あるいは本人に対して自然な形で感謝するようにしてみましょう。
誰かに助けられていること、身近には感謝できる理由がいっぱいあることを、あなたが感謝することによって伝えることができます。
それを続けることは、うつ病の人の中に今までなかったポジティブな思考パターンを作り上げるきっかけになり、歪んだ思考パターンから解放する手助けになります。
一人で抱え込まない
うつ病と闘わなければならないのは本人だけではありません。周りの友人、とりわけ家族はその長期的な戦いに参加しなければなりません。
ただ残念ながら風邪と同じように、うつ病は伝染してしまう危険性があります。
長い時間接しているなら、ネガティブな思考パターンに影響されてしまうこともあるでしょう。
そうならないためにも、自分一人で抱え込もうとしないでください。他人を優先するばかりではなく、自分のことも大切にしてあげてください。
うつ病の人と接しているあなたにも、周りからのサポートや専門家による助けがどうしても必要です。
ときに誰かに相談もしてあなたが安定した精神状態でいることは、うつ病の人の治療を進める上でもとても重要なのです。
まとめ
鬱の人との接し方と決して言ってはいけない言葉
うつ病の人への4つの禁句
・言葉の力を考える
・励ましの言葉
・責めるような言い方
・理解しているような言葉
・解決するような言葉
うつ病の人にしてあげられること(優しい接し方)
・思考パターンは変えられる
・ゆっくり話を聞いてあげよう
・感謝しよう
・一人で抱え込まない
これらの言葉は、うつ病になってしまった人を追い詰めるだけです。また、望んでなる人もいないことも理解して下さい。
言葉という鋭利な武器を知らず知らずに振り回さないよう気をつけていきましょう。
そして、この病気は永遠に付き合っていくというものではなく、必ず完治できるということを忘れないでください。
コメント コメントが多い記事もあります。読んでみるとモチベーションアップに繋がります。