放置子について、その特徴、体験談、どうやって付き合えばよいのか、丁寧に解説していきます。
最近では「放置子」という社会問題を表す言葉が、主にネット上を中心に、急激に広まってきました。
「ほうちご」「ほうちし」どう読むのかと質問される向きもありますが、「放置」+「子ども」で、そのまま「ほうちご」となります。
「放置」+「子ども」この2語を結び付けるのは、ちょっと哀しいことです。そして、特にネット上で取りざたされている「放置子」についての話題には、あまり好ましいものがありません。
ここでは、あなたがいつか遭遇するかもしれない放置子について、あまり知られていない部分まで深掘りしていきます。
一体どうすれば!放置子7つの特徴・体験談・付き合い方
放置子について
放置子とは
放置子とは、親が育児や教育を放棄(または疎かに)してしまい、放置されている子どもを指す言葉です。その程度によりますがネグレクトの一種ともいえます。
放置子は、付き添いなしに長時間で歩きまわり、他人に迷惑をかける傾向があります。
核家族化が進み、シングルマザーや共働きが増え、親に悪気はなくても、子どもを見てもらえる親戚や知人がそばにいないことで、放置子の数は現在増加の傾向にあるとされます。
放置子は愛情に飢えています。小さな子どもには、本能的にかまってほしいという欲求がありますので、親の愛情に飢え、その愛情を別の家庭や他人に求める傾向があるのです。
放置子は他人の家に上がりこみ、他人の家族の中で自分の居場所を探そうとすることがあります。愛情に飢え、別の他人の親を自分の親代わりにしようとする放置子は、その本人にとっても、対象となる他人の家族にとっても、不幸な状態を作り出す可能性が高いのです。
現代の放置子と、一昔前の鍵っ子の違い
「放置子」は、ネットから生まれた新しい単語ですが、一昔前には「放置子」によく似た「鍵っ子」という言葉がありました。
これは子どもが学校から帰宅しても、家に誰もいず、「自分で鍵を開けて家に入り、夜になって家族が帰ってくるまで独りで時間を過ごしている子ども」のことでした。
高度経済成長時代には、共稼ぎの家庭で、近くに祖父母がいない場合、鍵っ子になる子どもがたくさん登場しました。
鍵っ子たちは、鍵を無くさないようにペンダントのように首から吊るして登校していたものです。近所の人たちも○○ちゃんは鍵っ子だとちゃんと知っていましたし、同級生も家に呼んであげたり、結構周囲からの好意的な協力もあったようです。
「鍵っ子」という言葉には、事情はそれぞれ異なるものの、親のやむを得ない事情で子どもの帰宅時に誰も家にいられない、という響きがあります。
鍵っ子の場合は、机の上におやつが用意してあったり、子どもへのメモが置かれているという気づかいもあったのではないでしょうか。
しかしそれが「放置子」となると、ちょっと響きも変わってきます。
「放置された子」では、親に興味をもってもらえない、かまってもらえない、置いてきぼりにされた子どもというニュアンスになってしまいます。わびしい言葉ですが、こういう子どもの話題が今ネットを大きくにぎわし、世の中に言葉が広まりました。
ネットに投稿する母親たちの言い分は、とにかく迷惑だ、というものです。放置子と呼ばれる子どもたちは、招くと招かざるとにかからわず、他人の家に押しかけてきて、お菓子を要求したり、ご飯を食べさせてもらいたがったり、その家の子どもになりたがるようなそぶりを見せます。夜でも休日の朝でもかまわずやってくる、要注意侵入者だというのです。
こんな子どもに遭遇した場合、当然大人たちは「この子の親はどうしてるの?」と疑問を抱きます。それをネット上でつぶやくのです。
放置子と育児放棄(ネグレクト)
放置子の原因として、育児放棄である可能性もあります。親が子どもに関心を示さなかったり、育児を投げ出して好きなことをしている、といった具合です。
小児の成長に必要不可欠な食物、衣服、生活場所などを与えない、などの最低限のことを行わない親もいます。
また、育児放棄(ネグレクト)とそうでない境目にはグレーゾーンが多く、非常に判断が難しいです。育児放棄(ネグレクト)が子どもの人格形成に与える悪影響は、暴力などの虐待以上に大きいものだと言われています。
放置子を生み出している親は、どんなに忙しくても、簡単なご飯を準備し、手紙を書いてあげるなど、どんな形でも良いので愛情を注ぐ必要があります。子供に愛情が湧かない、ストレスで育児ができない、といった場合も、親、友人、自治体など、人に相談してみることが解決につながります。
意識的なネグレクトでなくても、親の不器用さと無知で放置子に近い状態になる場合もあります。
例えば、はじめての子供でどう育てれば良いかが分からなかったり、親自身の要領が悪かったりした場合にも、愛に飢えた放置子に似た状態になることがあります。子供が高機能自閉症(アスペルガー、ADHD)といった場合でも、放置子と似た行動をする子供が育つことがあるとされます。
放置子の7つの特徴
放置子の年齢
現在、放置子には圧倒的に小学生が多いとされます。
それは中学生や高校生になると、独りでいる時間がそれほど苦にならなくなるからです。中には、まだ小学校にも上がっていない年齢の放置子もいます。
放置子は一見社交的
放置子は、とにかく親の愛情に飢えています。
親の愛情の代わりに周囲の気を引こうとするので、知らない大人にも人なつこく話しかけてきます。恥ずかしがらずに、愛想もよく、すぐに誰にでもなつくので、最初はいわゆる「大人受けのよい子ども」が多いようです。
放置子は自分の親に愛情を注いでもらえなかった際に、どのようにすれば相手にかまってもらい、愛情を注いでもらうか?ということを考え、その方法を心得ています。
そのため非常に愛想が良く、挨拶なども他の子と比較してもよくできるなど、一般的には良い子に見えるという特徴があります。
家に押しかけて来る
一度住所を明かしてしまったり、家に上げてしまうと、毎日のように訪ねてくるようになったり、居座ったりします。追い返そうとして断っても、そう簡単にはあきらめません。
親からの愛情や教育が欠落してしまっているために、一度愛されていると感じた環境に身を置くことがあるのです。
暴力的・攻撃的であることがある
周囲の気を引こうとする気持ちは、攻撃的なかたちで現れることもあります。他の子どもを叩いたり、他の子どもの持ち物をわざと壊したり。また万引きなどをしてしまうこともあるようです。他人の家の庭に無断で入ったり、家のドアを開けてくれるまで叩き続けたり、呼び鈴を鳴らし続けたりする子供もいます。
弱いものいじめをする
強いものに対しては逆らいませんが、弱いものには容赦せず、強気になっていじめます。自分より小さな子どものおもちゃを奪って壊したり、ペットをいじめたりします。根本的に性格が悪いというのではなく、やはりかまってほしいという欲求の反動がこういう行動をとらせるのです。
早朝や夜でも外にいる
他の子どもたちが家に帰っている時間に、一人で公園やお店をうろついています。休日の朝7時頃に他人の家を訪れたり、夜暗くなってからも家に帰ろうとしません。親も無関心なのか、門限もないことがあります。
それも一般的な子どもならばとっくに帰宅しているような時間まで、外で出歩いていることが多いため、さまざまなリスクをもつ人間関係にも繋がってきます。
清潔感がない
放置子の中には、特に髪がぼさぼさしている子どもが多いです。服もこまめに洗われておらず、お風呂にも入っていないので、近づくと臭いがすることがあります。
社交性があるなど、人間としてはそつなくこなすことも多い放置子ですが、小学生といった自身で生活を送ることが難しい年齢の子どもは、清潔感がなく、みすぼらしさも併せ持っています。
いつも同じ服を着ていたり、同じモノを捨てずにもっていたりと、本来ならば親が責任をもって管理し、教育していく点が欠けてしまっています。
自分の臭いには気づきにくいものなので、子ども自身は気になっていないようです。靴下がボロボロな子どももいます。一様に、親の手が届いていないのが見て取れます。こういうことは、学校でのいじめの原因にもなります。
放置子の体験談・口コミ
インターネットに投稿される放置子についての記事には、大きく分けて2種類あります。一つは、放置子になつかれて困っている体験、もう一つは、もと放置子だった人が、現在をどう生きているかを問いかけたものです。
放置子の理解を深めるために、実際の体験談・口コミについても読んでみましょう。
①放置子との遭遇の体験談
近所の放置子6歳女子に困っています。
ちょっとしたなれなれしい子ではなく放置子です。
少し離れている家のうちの住宅地まで来て
平日休日問わず、遅くまで家に入りびたり、遊び方もしつけがなってない感じです。
前歯が全部虫歯で黒いです。
(略記)
遭遇してしまったら、なかなか悩ましい放置子。放置子に遭遇した時の対応法については後ほど解説していきます。
②放置子だった過去の体験談
放置子だった過去を思い出し、死にたくなっています。
今でも覚えている事があります。
お気に入りの家の子に「今日遊べる?」と私はいつものように電話しました。
すると「今日は家族で舞台を観に行く」とその子が言いました。私は「良いな〜私も行きたい!」と言いました。
するとその子は電話の向こうで親とゴソゴソ相談した後に「良いよ」と言いました。「どこかに行ける!やった〜!」と私はウキウキでその子の家に行きました。
すると、その子の弟が留守番を言い渡されていました。
その子の両親とその子と私の4人で車で少し遠くの場所まで舞台を観に行きました。車の中で、私は1人で浮かれて1人で喋ってました。
でも他の3人は誰一人喋っていませんでした。舞台を観終わったらそのままどこかにでも行くのかと思っていたら両親は即家に帰りました。
私はその後まだ遊べると思っていたら、その子が、
「これから家族でご飯食べに行くから…」と言いにくそうに言ってきました。私は「いいな〜」とか「私も行きたい」などと言ったのか、
その子は私に「家族で行くから…」と2度言いにくそうに言いました。私はショックだったけど、
「分かった。ばいば〜い」なんて帰りました。
その帰り道、全てが合致しました。私が行きたいって言ったから代わりに弟が留守番する羽目になった。
家族みんなで舞台を観に行ってそのままご飯を食べに行く予定だった。
私が家族団欒を壊した。そりゃ車の中で両親黙るわ。その時初めて「普通の家族」知ったというか、
とにかく”普通の家族”というものにすごくショックを受けたのを覚えています。何も気付かずに浮かれていた自分の情けなさ。
私もこの家族の一員だと思ってた勘違い。
帰り道の孤独感。
情けないし虚しいしで胸が一杯でした。そして時は経ち、学生時代はほぼ不登校で引きこもりでした。
ギリギリ大学までは行けましたが、
社会に出ても全然上手くやれませんでした。
(略記)
投稿者は、放置子であったことが悲観的な過去となっていますね。投稿者は上記のサイトで、過去を見つめ、いつかは未来を変えるための勇気を持つように激励されています。
放置子と出会った時にすべき4つのこと
現在、インターネットの放置子関連の投稿は、放置子に困り切った母親と、「はっきり追い返せ」とアドバイスをする読者の意見が目立ちますね。
ただし、放置子の行動がどんなにひどいものかを繰り返すだけでなく、個人では対応できないのだとしたら、地域や行政が助けてくれという建設的な方向も、可能な範囲で考えられると良いでしょう。
悲劇が多く載っている新聞ほどよく売れると言われますが、育児中のお母さん方は、ネットサーフィンで「放置子ってこんなにひどいんだ」と感心して終わるだけでなく、また「公園でこういう子を見かけたら、気をつけなくちゃいけない」と逃げるだけでなく、そういう子になつかれたら本当に困ることを想像して、その先の解決策を考えてみましょう。
深入りしないよう注意する
上記のように、ひとたび放置子にハマってしまったら、本当に厄介なことになります。ですからもし最初に「この子は放置子らしい」と思ったら、まず深入りしないように注意することです。
どこに住んでいるのか聞かれたら、間違っても答えてはいけません。放置子にはいくつかの特徴があります。その子の行動をよく観察してみれば、たいていわかるものです。着ている服もチェックしてみてください。
相手は子どもですし、親の愛に飢えているのが目に見えています。あまりにも冷たく突っぱねるのは気がひけます。でも多くの場合〝被害″を受けるは、自分の子育てだけでも精一杯な母親たちであることを忘れないでください。
担任の先生に言っても改善されなかったり、全くどういう家庭の子どもかわからない時には、いったいどうしたらいいでしょう。
放置子を受け入れたら、そんなジレンマに陥るのです。
子育て中のお母さんたちは自然に、何とかしてあげたいと思ってしまうので、こんな状態に陥りやすいです。
ですから最初から注意して、放置子になつかれないようなスタンスを持った行動を心がけてください。
他人に悩みを打ち明ける
「関わりたくない」気持ちと「何とかしてやりたい」気持ちの板挟みになったお母さんの多くが、毎日ネットに投稿しています。
「はっきり断った方がいいのでしょうか。」読者の中には「心を鬼にして、外へ追い出すくらいしないと解決しません」ときっぱりアドバイスする人もいます。
毎日アグレッシブに、しつこく、こちらの事情に関係なく訪ねてくる放置子は、加害者であると同時に、家庭での虐待の被害者でもあるのです。
一見人なつこく、はきはき大人に話しかけてきても、放置子の心の中は病んでいます。そんな子どもを、社会が無下に放り出していいものか。これは親として、社会人としては、ジレンマに陥って当然の問題です。独りで悩まないで、どこかの誰かに相談してみましょう。
相談相手は、ママ友でも、担任の先生でも、インターネットの投稿サイトでもいいのです。放置子は社会問題ですから、あなたが独りで悩む必要はありません。
放置子自身も虐待の被害者であり、なつかれたあなたも被害者です。広く周囲と相談して、社会的な解決を促しましょう。
現在放置子と関わりのない人も、この先関わることになるかもしれません。インターネットに投稿することは、そういう人たちにも放置子の存在を知ってもらえ、地域社会への問題喚起に繋がります。
放置子の親と話してみる
ネットには放置子についての情報があふれているので、放置子の親はみんな非常識な人間だと思われがちです。
しかし、中にはそうでない人もいるかもしれません。子どもが放置子になりつつあるのに気づいていない親もいるでしょう。
「お宅のお子さんが、よくうちに来るようになっています」などと話しかけてみてください。理解のある親なら、もっと気をつけるようになるはずです。それがだめなら、他の方法を当たりましょう。
公的機関の助けを借りる
ちなみに厚生労働省は、子どもを叩くといった「身体的虐待」、「性的虐待」、子どもを怯えさせたり、子どもの目の前で家族に暴力をふるうといった「心理的虐待」と育児放棄「ネグレクト」を「虐待」の定義として挙げています。
これに照らし合わせてみると、放置子のような行動をとる子どもたちが、家庭で虐待に合っている可能性は十分にあります。
誰かが何とかしなければならないことはわかっていても、相手の親の注意を促そうとして、その親が非常識だったらトラブルになることもあるでしょう。
何の対策も取らなければ、気に入られて放置子に毎日訪ねてこられたリ、家に上げたら勝手に冷蔵庫の中の物を取って食べられたリ、子どもの年齢が上がるにつれて攻撃性を増してきたりと、放置子にかかわると様々な問題に巻き込まれます。
周囲に相談しても、担任の先生に相談しても改善されず、訪ねてくる放置子が手に負えなくなった時には、公的機関に通報するという手段があります。
そもそも放置されている子どもを見かけたら、公的機関に通報することは、社会人の義務です。
「児童虐待の防止等に関する法律第6条」は、虐待を受けた児童を見つけたら、速やかに福祉事務所や児童相談所に通告するよう指示しています。
ここに電話をすると、通話が最寄りの児童相談所に通じるようになっています。
とは言え、通報したら、後々相手の親とトラブルになるのではないかと懸念される方もいるでしょう。そんな時は、匿名で通報することもできます。
また、実名で通報した場合でも、通告者の名前は原則知らされません。通告者のプライバシーはあくまで守られ、あとで罰せられるようなことも一切ありません。
自分の子供を放置子にしないために
時間に余裕がなかったとしても、親の関心と心遣いを忘れずに
人気のない家に帰宅しなければならない子どもでも、親の関心と心づかいさえあれば、放置子にはなりません。
親が外出先からこまめに電話を入れて子どもの状況を確認したり、どんな時にもできるだけ会話を持つようにするだけで、状況はずいぶん違ってきます。物理的には不在でも、親は自分のことを気にかけてくれていると感じる子どもは、放置子にはなりません。
また、学童保育、行政、地域社会など、開かれた解決策は多くありますので、上手に利用することで、状況はかなり改善するはずです。
まとめ
一体どうすれば!放置子7つの特徴・体験談・付き合い方
放置子について
・放置子とは
・現代の放置子と、一昔前の鍵っ子の違い
・放置子と育児放棄(ネグレクト)
放置子の7つの特徴
・放置子の年齢
・放置子は一見社交的
・家に押しかけて来る
・暴力的・攻撃的であることがある
・弱いものいじめをする
・早朝や夜でも外にいる
・清潔感がない
放置子の体験談・口コミ
・①放置子との遭遇の体験談
・②放置子だった過去の体験談
放置子と出会った時にすべき4つのこと
・深入りしないよう注意する
・他人に悩みを打ち明ける
・放置子の親と話してみる
・公的機関の助けを借りる
自分の子供を放置子にしないために
・時間に余裕がなかったとしても、親の関心と心遣いを忘れずに
「かわいそうなのはわかっているが、煩わしい」「気の毒だが、面倒みきれない」という悪印象をもたれる放置子ですが、放置子本人に罪はありません。
ネット上で愚痴るだけでなく、勇気をもった通告が、解決の扉を開けることになるかもしれません。
コメント コメントが多い記事もあります。読んでみるとモチベーションアップに繋がります。